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乃木坂46卒業へ “絶対エース”白石麻衣が切り開いた境地、後進に示した道標

乃木坂46の白石麻衣さんが、3月25日発売の25枚目シングルの活動をもって卒業することを発表。その偉大な足跡をたどります。

東京ガールズコレクションに出演した白石麻衣さん(2019年3月、時事通信フォト)
東京ガールズコレクションに出演した白石麻衣さん(2019年3月、時事通信フォト)

 乃木坂46の白石麻衣さんが、3月25日発売の25枚目シングルの活動をもって、グループから卒業することを発表しました。2011年夏のグループ結成からおよそ8年半を乃木坂46のメンバーとして過ごしてきた白石さんは、乃木坂46が広範なポピュラリティーを獲得していく上で、極めて重要な役割を果たしてきました。

ファッションアイコンとしてのポジション

 白石さんは乃木坂46の中で、いわば最も“外向き”のアイコンとしての立場を担ってきた人物でした。

 乃木坂46は草創期から、舞台演劇やファッション、あるいは独自のアートワークの追求など強みとなるような分野をいくつも開拓しながら、自らのブランドを育んできました。その中で、とりわけファッションにおいてグループの顔として先頭に立ち続けてきたのが白石さんです。

 デビュー1年目の2012年から、やはり同年に創刊された雑誌「LARME」でレギュラーモデルを務め、また雑誌「Ray」でも2013年1月号に初登場した後、同年5月号より専属モデルとなり、いずれの媒体においても2018年までモデルとして中心的な役割を果たします。

 飛躍的に知名度を上げていく乃木坂46の中心人物としての立場も背負いながら、白石さんはアイドルが長期的にモデルとして足場を築く代表的なケースになり、以降ファッションアイコンとしてのポジションをさらに固めていきます。

 元より、アイドルはマスな存在である分、毀誉褒貶(きよほうへん)の激しいジャンルでもあります。ポピュラーな存在として、さまざまな分野へ越境する機会が開かれやすい側面を持ってはいますが、同時に、越境先のジャンルで、必ずしも歓迎されないことや、評価されづらいことも少なくありません。その意味では、アドバンテージとスティグマの双方をあらかじめ担わされた立場にあるといえるでしょう。

 そのような環境にあって、いまだ自らの知名度も実績もおぼつかないデビュー初期からファッション分野の開拓を担い、長年にわたって成果を上げながら、そうした困難を超越するような地位を築いてきた白石さんの足跡は、見かけ以上に成し難く偉大なものであるはずです。

 白石さんが先陣を切って道を作り、乃木坂46はデビュー以来、10人超の雑誌専属、レギュラーモデルを生み出す組織になりました。グループ全体としてスタイリッシュなイメージを築くことにも成功し、後続の欅坂46、日向坂46メンバーが雑誌モデルなどに進出する上での足掛かりともなってきました。これは、乃木坂46のファッション分野での活躍が一時の短期的な勢いにとどまらなかった故です。

 そして、ファッションと乃木坂46との親和性を長きにわたって担保するための、最大のよりどころとなったのが、白石さんの活動でした。それは、アイドルというジャンルの当事者がどのようなポテンシャルを持ちうるのかを示す、目覚ましい実践でもありました。“外向き”のアイコンを担ってきたとは、そうした意味においてです。

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香月孝史(かつき・たかし)

ライター

1980年生まれ。ポピュラー文化を中心にライティング・批評やインタビューを手がける。著書に「『アイドル』の読み方 混乱する『語り』を問う」(青弓社)、共著に「社会学用語図鑑 人物と用語でたどる社会学の全体像」(プレジデント社)、執筆媒体に「RealSound」など。

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