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ネットで“炎上”している人に心ない言葉を浴びせる人の心理とは 習慣どう断ち切る?

「たたく」習慣をどう断ち切る?

Q.こうした習慣を断ち切るには、どのような方法や思考が必要になるのでしょうか。

小日向さん「まず『炎上に便乗すること=ストレス解消の代替手段であること』を理解してください。そして、自身の本来のストレス要因としっかり向き合い、クリアにしていくことが大切です。なぜなら、その過程が遠回りでも、つらいものでも、結果的に、本質に対峙(たいじ)して解消することが最も効果的なストレス発散になるからです。

また、ストレス発散以外でも『炎上に便乗して拡散することが正義だ!』と熱くなっている自分に気付いたら、『もし自分がやられたら…』と考えてみましょう。『もし自分がその人の立場だったら…』と考える他者への共感能力は、炎上をあおるというゆがんだ習慣を断ち切ることができるだけでなく、社会生活を円滑に送る上でも大切な思考です」

Q.現代は「ネット上で炎上している人に罵詈雑言を浴びせる」などの行為でストレスを発散している人が少なくないようです。

小日向さん「価値観が多様化し、さまざまな生き方が認められる時代になりましたが、そのような自由を履き違えて、いわゆる『自己中』になっている人も多いと感じます。例えば、炎上に便乗する人の中には、その行為を広告収入などお金もうけの手段として使う人もいますが、それも『自分の欲望を満たすためなら人の感情はどうでもいい』という自己中心的な思考が根底にあります。また、匿名性が高いというネットの性質も、そうした自己中心的な行動に拍車をかけています。

ただし、炎上してしまう側にも全く問題がないとはいえないケースもあると思います。『いいね』の数やフォロワー数といった『他者からの承認』で承認欲求を満たしたいあまりに、投稿する内容が過激になっているケースも見受けられます。情報をネットにアップすることは、ストレスを抱えている人にとっての格好の『たたき場所』になってしまう危険性もあるのです。炎上をあおる方も情報をアップする方も、双方が『他者への共感能力』を養うことが大切な時代になっていると感じます」

(オトナンサー編集部)

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小日向るり子(こひなた・るりこ)

心理カウンセラー

カウンセリングスペース「フィールマインド」代表。出版社で働きながらボランティアで電話相談員を始めたことが、カウンセリングの世界に入るきっかけに。資格取得後、行政機関でのセクハラ相談員を経て、2012年に独立。2019年4月現在、約3500件の相談実績を持つ。メディア、ネットなどで心理・恋愛系コラムを多数執筆。フィールマインド(http://feel-mind.net/)。

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