ネットで“炎上”している人に心ない言葉を浴びせる人の心理とは 習慣どう断ち切る?
SNSで投稿が炎上すると、炎上している当人に向けて心ない言葉を浴びせる人たちがいます。その心理とは、どのようなものでしょうか。

SNS全盛の現代、投稿内容が炎上する状況を頻繁に目にするようになりました。以前は、芸能人や著名人のアカウントがそうした状況に陥るケースが多くありましたが、最近では、一般人の投稿が炎上することも珍しくありません。SNSなどで炎上が起きると、その中心となっているアカウントに対して「死ね」「ブス」といった誹謗(ひぼう)中傷のコメントが多数書き込まれるケースも見受けられますが、中には、ストレス発散のために進んで行う人もいるようです。
こうした問題について、ネット上では「私の職場にもこういう人いる」「リアルだと普通なのに、ネット上だと人格変わる人いるよね」など、さまざまな声が上がっています。炎上している人に心ない言葉を浴びせる人の心理について、心理カウンセラーの小日向るり子さんに聞きました。
「たたく」ことは一種の発散行為
Q.一般的に、人がストレスを感じるときの心理状態とはどのようなものでしょうか。
小日向さん「ストレスはもともと、物理学の用語で『外部からの圧力によって生じるゆがみ』のことです。これを心の状態に当てはめたものが、心理学でいうストレスです。外部からの圧力を『ストレッサー』といいますが、何らかのストレッサーによって心に負荷がかかり、ゆがんでいる状態が、ストレスを感じているときの心理状態です」
Q.一方で、「ストレスを発散できた」と感じるときの心理状態とは。
小日向さん「ストレスがかかっていない心の状態を『ふくらんだ風船』に見立てると、この風船にギューっと圧をかけている状態が、いわゆる、ストレスがかかっている状態です。そして、この押し込まれている力から解放された瞬間が、ストレスを発散できた状態です」
Q.ネット上で「炎上している人や投稿を常に探している」「炎上している人に向けて誹謗中傷のコメントを積極的に書き込む」などの行動を取る人について、どのような心理状態であることが考えられますか。
小日向さん「『たたく』ことは一種の発散行為です。もぐらたたきゲームというものがありますが、あのゲームでスッキリした経験のある人もいると思います。物理的にたたくだけでなく、心理的にたたく行為もストレス発散となります。従って、炎上している人物や投稿を探している人、炎上している人物に向けて誹謗中傷のコメントを積極的に書き込む人は、たたいて発散させたいという欲求がある可能性が高いです。自分自身にストレスがたまっている状態だといえるでしょう」
Q.ネット上で罵詈(ばり)雑言を浴びせたり、誹謗中傷をしたりする行為は、ストレスの発散につながるのでしょうか。
小日向さん「ストレスは大きく2種類に分けられます。暑さや寒さ、騒音、薬害といった物理・化学的なものと、会社での人間関係や家庭でのもめ事などの心理的なものです。ストレスを解消する場合、ストレスをかけられたものと同じ手段で発散した方が、よりスッキリします。例えば、暑さがストレスであれば、涼しい場所に行くことが最もよいストレス解消になりますし、いじめられたら、いじめた相手にやり返すことが最もスッキリできるということです。
しかし、そうした正攻法でストレスを解消できない場合、できるだけストレスの原因に近い代替手段で解消しようとします。つまり、炎上中の投稿を探している人やネット炎上をあおる人の多くは、自身が何らかの心理的ストレスを受けているものの、それをストレッサー(ストレス要因)に向かって直接はね返すことができないため、誰かの心を傷つけたり、自分のゆがんだ正義感を振りかざしたりするなど、心理的な代替手段で発散しようとしているのです」
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