カジノ解禁で懸念 「ギャンブル依存症」とはどのような病気か
2016年末に「統合型リゾート(IR)推進法」が施行され、日本にもカジノ解禁の流れが押し寄せています。一方で懸念されているのが「ギャンブル依存症」。これはどんな病気で、どんな特徴があるのか。数回に分けて解説していきます。

カジノを解禁する「統合型リゾート(IR)推進法」が2016年12月26日に施行されました。
そこで懸念されているのが「ギャンブル依存症」。その拡大を防ごうと、政府・与党が各種調査や対策に乗り出したことが大きく報じられています。
ギャンブル依存症とは一体、どのような病気で、どのような恐ろしさがあるのか――。オトナンサー編集部では数回に分けて、ギャンブル依存症に詳しい北海道立精神保健福祉センターの田辺等所長に話を聞きます。
初回は「ギャンブル依存症とは何か」です。
日本は「日常的にギャンブルを楽しめる社会」
田辺さんによると、ギャンブル依存症は“娯楽”で始めたギャンブルが自分に不利益、有害とわかっていても、再体験の欲求が強すぎて反復、継続してしまう状態を指します。世界保健機関(WHO)は「病的賭博」と定義しており、米国での診断病名は「ギャンブル障害」です。
たとえば、高額な借金や夫婦・親子関係の悪化などギャンブルの結果生じる悪い結果を認識しているのにギャンブルを止められないのは、アルコール依存症の人が禁酒の指示を知りながら、お酒を隠れて飲んでしまうのと同じ現象。アルコールや薬物依存症と症状などが似ていることから、米国では2013年に同一の診断カテゴリーに含まれるようになったといいます。
田辺さんによると、日本におけるギャンブル依存症はパチンコ、スロットマシーンが圧倒的に多く、競馬や麻雀がこれに続き、ポーカーなどのカードゲームやバカラは少数とのこと。パチンコとスロットが多く、薬物乱用などとの合併が少ないことが欧米とは異なる特徴といいます。
田辺さんは「日本はパチンコなどの遊技場がどこにでもあり、日常的にギャンブルを楽しめる社会。会社員や主婦、学生にもギャンブル問題は広がっており、2009年の調査では成人男性の9.6%、女性の1.6%と欧米よりも高い数字です」と話しています。
次回はギャンブル依存症の「診断」についてです。
(オトナンサー編集部)
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