「ケシ」に栽培してよいものとダメなものがあるって本当? 見分けるポイントは?
観賞用に栽培していた花の一つが「ケシ」で、保健所の職員に没収されたという投稿が話題になっています。

観賞用に栽培していた花の一つが「ケシ」で、保健所の職員に没収されたという投稿がSNS上で話題になっています。投稿者は「昔の話」としていますが、現在も続く話題のようで、SNS上では「植えてはダメなケシと大丈夫なケシがあるので難しい」「素人では区別がつかない」「自生もしているらしい」といった声が上がっています。東京都福祉保健局健康安全部薬務課の担当者に聞きました。
あへん法と麻薬及び向精神薬取締法
Q.ケシの花は、栽培が禁止されているものとそうでないものがある、というのは本当ですか。
担当者「本当です。『あへん法』により、『ソムニフェルム種』『セティゲルム種(アツミゲシ)』、麻薬及び向精神薬取締法により『ブラクテアツム種(ハカマオニゲシ)』の栽培が禁止されています。一方で『ナガミヒナゲシ』『オニゲシ』のように、栽培が禁止されていないケシもあります」
Q.なぜ、法律で禁止されているのですか。
担当者「『ソムニフェルム種』『セティゲルム種』は、麻薬であるモルヒネなどの製造原料となるアヘンを採取することができるため、あへん法で栽培が禁止されています。『ブラクテアツム種』は、麻薬である『テバイン』を含有しているため、法律で栽培が禁止されています」
Q.栽培が禁止されている種類のケシの花を、なぜ、悪意のない人が栽培していることがあるのでしょうか。
担当者「法律で栽培が禁止されているケシ(以下、栽培禁止ケシ)の種子が混入していることを知らずに海外から種子を輸入し、栽培してしまったという事例があります」
Q.自生していることもあるのでしょうか。
担当者「栽培禁止ケシが自生することもあります。自生していた場所については、お答えできません」
Q.栽培禁止ケシと、そうでないケシを見分けるポイントは。
担当者「栽培禁止ケシは『茎に毛が生えていないか、少ない』『葉が茎を包み込んでいる』などの特徴があります。一方、禁止されていないケシは『茎に毛が生えている』『葉が茎の下部から出ている』といった特徴があります。詳しい見分け方とそれぞれの写真は『御存じですか 栽培が禁止されている植物があります』というリーフレット(※)にあります」
Q.栽培している花が栽培禁止ケシだと気付いた場合や花を見かけた場合は、どうすればよいですか。
担当者「東京都内で栽培禁止ケシを発見したり、誤って栽培したりしてしまった場合は、抜かずに、速やかに東京都福祉保健局健康安全部薬務課の麻薬対策担当までご連絡ください。他の道府県の場合は、所管の道府県薬務主管課まで連絡してください」
Q.発見・除去される栽培禁止ケシは、どのくらいあるのでしょうか。
担当者「2017年度、東京都内における栽培禁止ケシの発見除去は205件、9186本です」
Q.もし知っていて栽培した場合はどうなりますか。
担当者「あへん法や麻薬及び向精神薬取締法では、栽培禁止ケシを『みだりに栽培』した場合の罰則規定があります(あへん法51条、麻薬及び向精神薬取締法65条)」
Q.小平市の東京都薬用植物園で、栽培禁止ケシを見ることができると聞きました。
担当者「東京都薬用植物園では、薬務行政の一つとして薬用植物を収集・栽培しており、栽培禁止ケシについても、指導・取り締まりに向けた植物鑑別などの試験検査や、調査研究のために栽培しています。栽培禁止ケシの花の見頃は、例年5月上旬です」
(※)リーフレット「御存じですか 栽培が禁止されている植物があります」(http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kenkou/kenkou_anzen/stop/taima/index.files/gozonji28.pdf)
(オトナンサー編集部)
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