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桜のシーズン到来! 鹿児島市より寒い福岡市で開花が早いのはなぜ?

「桜前線」はおおむね、温暖な九州や四国から北上していきますが、決して地図通りに進むわけではありません。なぜでしょうか。

なぜ、鹿児島市よりも福岡市の方が開花が早い?
なぜ、鹿児島市よりも福岡市の方が開花が早い?

 長崎市を皮切りに、桜(ソメイヨシノ)の開花が各地で確認されています。「桜前線」はおおむね、温暖な九州や四国から北上していきますが、決して地図通りに進むわけではありません。九州では例年、南部にあって温暖な鹿児島市より、北部にある福岡市の方が早く開花します。今年も3月21日、一足早く福岡市で開花しました。

 気象学の研究者によると、その背景には地球規模の問題があり、同じ理由から将来、「桜が咲かなくなる地域」が出てくるかもしれないそうです。九州大学大学院の教授時代に、桜と地球温暖化の関係について研究していた伊藤久徳(ひさのり)福岡市科学館館長に聞きました。

温暖化で「休眠打破」うまくいかず

Q.まず、ソメイヨシノの開花の仕組みを教えてください。

伊藤さん「ソメイヨシノの花芽は夏にできて、秋、休眠状態に入ります。冬になり、10度程度を下回る寒さに一定期間さらされることで目覚め(休眠打破)、開花の準備を始めます。そして、春になって気温が上昇すると花芽が成長し、開花します」

Q.近年、福岡市が鹿児島市より開花が早いことが多いです。なぜでしょうか。

伊藤さん「鹿児島市の冬があまり寒くなくなっているため、休眠打破がうまくいかないからです。昨冬は冷え込みが厳しかったため、鹿児島市の開花が福岡市より2日早かったのですが、例年は福岡市の方が早く開花します。地球温暖化の影響と思われます。昔は鹿児島の方が早かったのです。休眠打破に十分な寒さがあったことが一因です」

Q.花芽の目覚めが遅くなると、その分、開花も遅れるということでしょうか。

伊藤さん「遅れる傾向にあるということです。開花の時期は、その後の温度にも左右されますので」

Q.桜前線が単純に南から北へ進まないのも、温暖化の影響でしょうか。

伊藤さん「影響していると思います。桜前線も、昔はほぼ南から北に進んでいたと思いますが、現在では、九州では北から南に進みます。開花の平年値を見ると、福岡と熊本が3月23日、佐賀、長崎、大分、宮崎が24日で、鹿児島が最も遅い3月26日です。鹿児島と福岡の1月の平均気温は2度くらい違います。鹿児島では休眠打破が起こりにくくなっているのです」

Q.温暖化が進むと、ソメイヨシノが開花しない地域があるというのは本当ですか。

伊藤さん「可能性はあります。かなり温暖化が進むと仮定した21世紀末(2082~2100年)のシミュレーションで、鹿児島県の南部、たとえば種子島や屋久島、本土でも南の方では、開花しない可能性があるという結果が出ました。

特に海側の地域です。海の方が夜、温度があまり下がらないので休眠打破が起こりにくくなります。内陸は夜の寒さが厳しくなるので、寒さにさらされる時間が長くなり、開花の可能性はあります。種子島や屋久島は海に囲まれているので、咲かない可能性があるのです。ちなみに、現在のソメイヨシノの南限は、種子島、屋久島です。奄美は、平地にソメイヨシノはありません。

もっとも、このシミュレーションは、何パターンか地球温暖化の進行を想定し、最も温暖化が進むというシナリオで行ったものです。今後、温暖化がどう進むかによって変わります」

Q.開花しなかったソメイヨシノはその後、冬の寒さがあれば、翌年は咲くのでしょうか。それとも、枯れてしまうのでしょうか。

伊藤さん「条件が整えば、また咲きます。開花しなかったからといって、枯れることはありません」

Q.ソメイヨシノが今後も咲き続けるために、私たちができることはありますか。

伊藤さん「温暖化を止めることが一番です」

Q.桜が咲かなくなるかもしれないという事態について、どのように思われますか。

伊藤さん「残念ですね。私は桜を見に行くのが好きで、すがすがしい気分になります。桜は春を代表する花であり、桜にまつわることわざや、桜餅のような食べ物など、日本人の心や日本の文化のいろいろなところに生きています。桜が日本全国で咲かなくなることがあってはならないですし、当面ないとは思いますが、そうなれば日本の文化もかなり変わってしまうと思います」

(オトナンサー編集部)

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