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粗品が史上初“2冠”達成! 霜降り明星は新たな“お笑いスター”へ上り詰めるのか

「M-1グランプリ2018」を制し、粗品さんが史上初のM-1とR-1の“2冠”を達成するなど、勢いに乗る霜降り明星。その魅力とは――。

霜降り明星(C)YOSHIMOTO KOGYO CO.,LTD.
霜降り明星(C)YOSHIMOTO KOGYO CO.,LTD.

“ひとり芸日本一”を決定する「R-1ぐらんぷり2019」(カンテレ・フジテレビ系)が3月10日に行われ、お笑いコンビ・霜降り明星の粗品さんが初優勝しました。

 霜降り明星は、ツッコミの粗品さんとボケのせいやさんが2013年1月に結成。昨年12月の「M-1グランプリ2018」(テレビ朝日系)を制し、史上初の平成生まれの王者となりました。今回、粗品さんが「R-1」を制したことで、こちらも史上初のM-1とR-1の“2冠”を達成したことになります。

高齢化の中で示しているフレッシュさ

 勢いに乗る霜降り明星は、今年4月から冠バラエティー番組として「霜降りバラエティ」(テレビ朝日系)と「霜降り明星のあてみなげ」(静岡朝日テレビ)がスタート。活動拠点を東京に移すことも決まっていますが、お笑い評論家のラリー遠田さんは「東京に進出して順調に行く可能性は非常に高い」と指摘します。

「お笑いの歴史上、若手芸人がいきなり冠バラエティーを持ち、そのまま成功したケースは多くありません。しかし、霜降り明星はM-1やR-1で結果を残し、実力があることは周知の事実。大阪のテレビ番組でも力をつけていますので、何も持っていない新人ではありません。

2人とも『人志松本のすべらない話』にも出演しましたし、平場のトークも器用にできるタイプです。東京に進出して順調に行く可能性は非常に高いでしょう。また、芸人が高齢化している中、20代の若手として頭角を現してきたフレッシュさもあります」

 霜降り明星は共に26歳で、結成してわずか6年ほど。しかし、M-1王者の名にたがわぬ、クオリティーの高い漫才を披露しています。舞台を大きく利用し、せいやさんが全身を使ってボケるのとは対照的に、粗品さんはセンターマイクから端的にツッコミを入れるスタイルです。

「お笑いには大きく分けて、“動きの笑い”“言葉の笑い”の2種類あります。例えば、ドリフターズはおかしな動きによる笑い、松本人志さんや“例えツッコミ”などはフレーズの面白さによる言葉の笑いです。

霜降り明星は、動きと言葉の“二重奏”。せいやさんがコミカルに動き、粗品さんがセンスある言葉でツッコミを入れています。違う種類の笑いをミックスさせ、両方の個性を生かしている点が画期的です」

 名実ともに実力派であることに加えて、2人のキャラクターには愛嬌(あいきょう)があり、好感度も高いとラリーさんは指摘します。

「お笑い芸人養成所で相方を見つけ、徐々にコンビ同士が仲良くなるケースが多いのですが、霜降り明星の2人は養成所出身ではありません。しかし、どちらも高校時代からお笑いをやっていて、その頃からの知り合いです。その後、ピン芸人として活動していた粗品さんが、せいやさんをスカウトしました。初めから信頼関係がある状態でコンビをスタートさせています。

昔のお笑いコンビは、信頼関係や仲の良さについて、照れくさくて公言しないことが一般的でした。しかし、霜降り明星は隠しません。熱いことを言ってお互いを励まし合っています。さらに、どちらも素直で明るいので、幅広い世代に好感を持たれるキャラクター性を持っています」

 実際、せいやさんは、粗品さんのR-1優勝を受けて自身のツイッターに、「相方が神になりました」「マジで、すごい!!!!」と投稿し、相方を称賛。一方の粗品さんも、「R-1優勝しました そんな僕より間違いなく面白いのが、せいやです 霜降り明星をよろしくお願いします」とツイッターにつづり、ファンからは「感動しました。コンビ愛」「2人とも違った魅力で面白い!」「泣けるやん」などのコメントが相次ぎました。

 新たな“お笑いスター”の誕生を予感させる霜降り明星。今後の活躍が注目されます。

(オトナンサー編集部)

ラリー遠田(らりー・とおだ)

作家・ライター/お笑い評論家

1979年名古屋市生まれ。東京大学文学部卒業。テレビ番組制作会社勤務を経て作家・ライター、お笑い評論家に。テレビ、お笑いに関する取材、執筆、イベント主催など、多岐にわたる活動を行っている。「教養としての平成お笑い史」(ディスカヴァー携書)「とんねるずと『めちゃイケ』の終わり<ポスト平成>のテレビバラエティ論」(イースト新書)など著書多数。

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