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キングコング、初登場「ENGEI」で見せた安定感 経験に裏打ちされた圧倒的“強さ”

8月17日放送の「ENGEIグランドスラム」で、キングコングの二人がネタを披露して話題となりました。その背後には、経験に裏打ちされた「強さ」があると筆者は見ています。

キングコング(吉本興業提供)
キングコング(吉本興業提供)

 8月17日に放送された、4時間を超える大型ネタ番組「ENGEIグランドスラム」(フジテレビ系)で、トップバッターを務めたのは意外な人物でした。えんじ色のそろいのスーツで舞台に現れた二人は片足を上げてダブルピースを作り、ツカミの一言を放ちました。

「どうもキングコングです、イェイイェイ!」

 最近のテレビのネタ番組では、よく出る芸人の顔ぶれが大体決まっています。キングコングの西野亮廣さんと梶原雄太さんの二人が、こういう番組に出るのは珍しいことです。2015年から不定期で放送されているこの特番でも、キングコングは今回が初登場でした。

 普段から劇場に出て漫才を披露しているだけあって、そのたたずまいには安定感があり、吉本興業の昨今の闇営業騒動をネタにする部分もあって客席は沸いていました。トップバッターとして番組を盛り上げる役目をきっちり果たしていました。

圧倒的な人気の陰で、仲間からの嫉妬

 最近、キングコングの二人は個々での活動が多いため、そちらの方が目立っていました。しかし、彼らはコンビを組んだ時から一貫して漫才を続けてきた根っからの漫才師でもあるのです。

 その才能は、業界内ではデビュー前から既に知られていました。吉本興業のお笑い養成所「NSC」で出会った二人は、在学中に「NHK上方漫才コンテスト」というお笑いコンテストに出場し、プロの先輩芸人たちをごぼう抜きにして最優秀賞を受賞しました。

 彼らは「若さ」「見た目の良さ」「明るさ」という武器を生かして、デビューしてすぐに大阪の劇場を中心にアイドル的人気を獲得しました。2001年には深夜のコント番組「はねるのトびら」(フジテレビ系)が始まり、その人気は全国区に拡大していきました。

 そのキャリアは一見すると順調そうですが、実は本人たちは人知れず、さまざまな問題を抱えていました。同世代の芸人の中で圧倒的な人気を誇っていた彼らは、芸人の間では激しい嫉妬の対象にもなっていました。一部のファンからバッシングを受けたり、「実力と人気が見合っていない」と芸人仲間から陰口をたたかれたりもしていました。

 寝る間もないほどの多忙な生活が続き、2003年にはストレスが原因で梶原さんが突然失踪してしまったこともありました。日の当たるスター街道を歩いてきたからこそ、のしかかるプレッシャーも生半可なものではなかったのです。

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ラリー遠田(らりー・とおだ)

作家・ライター/お笑い評論家

1979年名古屋市生まれ。東京大学文学部卒業。テレビ番組制作会社勤務を経て作家・ライター、お笑い評論家に。テレビ、お笑いに関する取材、執筆、イベント主催など、多岐にわたる活動を行っている。「教養としての平成お笑い史」(ディスカヴァー携書)「とんねるずと『めちゃイケ』の終わり<ポスト平成>のテレビバラエティ論」(イースト新書)など著書多数。

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