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KOC王者・どぶろっく、賛否両論“下ネタ”の弱点を克服 新たなスペシャリストへ!

「キングオブコント2019」で2413組の頂点に立った歌ネタ芸人、どぶろっく。ともすれば裏目に出る“下ネタ”で栄冠を手にすることができたのは、なぜでしょうか。

どぶろっく(2014年08月、時事)
どぶろっく(2014年08月、時事)

 9月21日放送のコント日本一を決める「キングオブコント2019」(TBS系)で優勝を果たしたのは、歌ネタ芸人のどぶろっくでした。決勝の舞台でミュージカル風のコントを2本披露して爆笑をさらい、エントリー総数2413組の頂点に立ちました。

 決勝に進んだ芸人たちは、もともとコントを専門にしている人ばかりでした。その中で、コントよりも歌ネタのイメージが強いどぶろっくが優勝したことは、お笑いファンの間で驚きをもって受け止められました。

 決勝の前段階の準決勝は、毎年ライブ形式で行われています。筆者はそこに足を運んでいました。準決勝で全組のネタを見終わって率直に思ったのは、「どぶろっくが圧倒的にウケていた。しかし、彼らはあのネタで決勝に上がらせてもらえるのだろうか?」ということ。コントに含まれている“下ネタ”が、ゴールデンタイムのテレビ番組で放送できるレベルのものなのか、判断がつかなかったのです。

下ネタが嫌われやすい2つの理由

 どぶろっくが演じていたのは、童話のような世界観の物語です。1本目のコントでは、森の中で母親の不治の病を治すための薬を探している若者の元に神様が現れます。神様が「何でも1つだけ望みをかなえてやる」と言うと、若者は「大きなイチモツをください」とまさかの願い事をするという展開。2本目のコントも基本的な設定はほぼ同じでした。

 ネット上の感想などを見ていると、「大爆笑した」「面白かった」と言う人がいる一方、下ネタに対して否定的な反応を示す人もたくさんいました。下ネタはそれだけ、賛否が分かれやすいものなのです。

 下ネタが嫌われやすい理由は大きく分けて2つあります。一つは、そもそも生理的に受け入れられないと感じる人がいることです。また、たとえ自分自身が下ネタを苦手としていなくても、自分の子どもには見せられないと思ったり、家族や友人と一緒に見るのが気まずいと感じたりする人もいます。下ネタを素直に受け入れて笑うのは難しいと思う人が、一定数存在するのです。

 もう一つの理由は、下ネタは安易な笑いだと思われやすいということです。小さな子どもは基本的に下ネタが大好きです。仲間内で「うんち」「おしり」といった単語を言い合いながらはしゃぐこともあります。下ネタは子どもにも伝わるほど笑いやすく、誰にでもできるものだと考えられているのです。

 実際、どぶろっくが所属する事務所・浅井企画のリーダー的な存在である萩本欽一さんは、自分が手掛ける舞台で下ネタを言うことを禁止していました。安易な下ネタで笑いを取るのは素人でもできる。プロの芸人は下ネタを言うべきではない。萩本さんはそう考えていました。

 しかし、それだけ受け手を選ぶはずの下ネタを前面に出したどぶろっくが優勝できたのは、彼らのネタに単なる下ネタにとどまらない魅力があったからです。

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ラリー遠田(らりー・とおだ)

作家・ライター/お笑い評論家

1979年名古屋市生まれ。東京大学文学部卒業。テレビ番組制作会社勤務を経て作家・ライター、お笑い評論家に。テレビ、お笑いに関する取材、執筆、イベント主催など、多岐にわたる活動を行っている。「教養としての平成お笑い史」(ディスカヴァー携書)「とんねるずと『めちゃイケ』の終わり<ポスト平成>のテレビバラエティ論」(イースト新書)など著書多数。

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