「ちえりとチェリー」中村誠監督、星野源の“声優ぶり”絶賛「すごく良かったです」
映画「ちえりとチェリー」の中村誠監督に単独インタビュー。映画化の経緯や東北を舞台にする上で気をつけたことなどを聞きました。

映画「ちえりとチェリー」でメガホンを取った中村誠監督。同作は、小学6年生のちえり(高森奈津美さん)は幼い頃に父を亡くし、母親(尾野真千子さん)と2人で暮らしています。忙しい母の代わりに、ちえりの話し相手になるのはぬいぐるみのチェリー(星野源さん)だけ。ある日、ちえりたちは父親の法事で祖母の家を訪れ…少女の不思議な冒険と成長を描く長編パペットアニメーションです。
オトナンサー編集部では、中村監督に単独インタビューを実施。映画化の経緯や東北を舞台にする上で気をつけたこと、命のテーマなどについて聞きました。
同じ所に立っている人として作る
Q.映画化の経緯を教えてください。
中村監督(以下敬称略)「2010年ごろから『チェブラーシカ』を手がけた経験から、日本の人に向けて日本のアニメを作りたいと思いました。テーマとして『大切な人との別れ』『命』を入れたいという思いがありました。作り始めた後、シナリオ作業中に東日本大震災がありました。元々、舞台を東北にしようと思っていたので、命についてより考えることになりました」
Q.東北を舞台にするにあたり、気をつけたことは。
中村「震災があったから気をつけたというわけではないですが、変に同情したり、立ち位置が違うような考え方をしたりしないようにしたつもりです。高みからではなく、同じ所に立っている人として作るというか。子どもに向けて作るときも、子どもだからといって簡単なお話にしたり、怖いシーンを怖くないようにしたりせず、対人間として真摯に作るようにしています」
Q.表現にストップモーション(人形を少しずつ動かしながら撮影していく手法)を選んだ理由を教えてください。
中村「テーマが命を扱っていて、ぬいぐるみに命が宿るとかそういうことなので、実際にセルアニメやCGアニメをやるよりは、人形アニメとして作った方が説得力あるだろうなと思いました」
Q.1日に何秒分くらい撮れるのでしょうか。
中村「平均すると5秒くらいです。それが何班かあるので、もう少し撮れます」
Q.撮影中、苦労したシーンはありますか。
中村「後半の怪物のシーンが重かったので、そこで一番うまいアニメーターが拘束されてしまい、自分的に優先度が高いと思っていた日常芝居がその人に撮ってもらえずリテイクを重ねました」
Q.ストップモーションの面白さは。
中村「絵でやるアニメと違い、実際にセットを作って人形で撮影するのでライブアクションに近い演出ができます。カメラをのぞいて、人形が立っている位置はどこがいいとか、レンズの絞りをどこにするとか、リアルタイムで作っていって、役者に対するみたいに、『このシーンはこういう意味なのでこういう風に演技させて』とアニメーターに言います。人形が演技するのがストップモーションの面白さです」
Q.アフレコ現場には行かれましたか。
中村「3日くらいにわたってやりましたが、面白かったです。星野源さんもこんなに腰の低い芸能人がいていいのかと思いました。僕が昔シナリオを書いた作品のDVD持ってきて『サインしてもらっていいですか』と。逆だろうと思いました(笑)」
Q.星野さんの声優ぶりはいかがでしたか。
中村「すごく良かったです。星野さんにやってもらったことで、チェリーというキャラがちえりの親友であり、父親代わりであり…みたいな間口が広がったと思います」
映画「ちえりとチェリー」は全国公開中。
(オトナンサー編集部)
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