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ごみ分別にストレス感じる主婦8割、「エコ疲れ」にならないために必要なことは?

ペットボトルなど、ごみの分別にストレスを感じる人が80%もいるそうです。これほど多い原因を専門家に聞きました。

エコ意識の高まりの一方、ゴミの分別にストレスを感じる人も…
エコ意識の高まりの一方、ゴミの分別にストレスを感じる人も…

 きょう2月16日は、地球温暖化防止に関する「京都議定書」が発効した日です。2005年2月16日、温室効果ガス削減を先進国に課す取り組みなどが始まり、人々の環境問題への関心やエコ意識が高まりました。

 そのかいもあってか現在、ごみの分別は当たり前のようになりましたが、一方で、ごみの分別にストレスを感じる人が多いことも明らかになっています。アサヒ飲料(東京都墨田区)が2018年11月30日~12月2日、全国の20~60代の主婦2000人を対象に実施した「エコに関する意識調査」によると、主婦の約80%が分別にストレスを感じる「エコ疲れ」になっているそうです。

 分別にストレスを感じる人がなぜ多いのか、ごみの分別やリサイクルに詳しい、京都大学地球環境学堂准教授の浅利美鈴さんに聞きました。

回収の受け皿充実を

Q.アサヒ飲料の調査では、95.8%が「資源とごみの分別をしている」とする一方、81.6%が「分別に手間やストレスを感じる」、70.8%が「分別に疲労感を感じている」と回答しました。なぜ、分別に負担を感じる人が多いのでしょうか。

浅利さん「いくつか理由があると思います。分別を細かく規定している地方自治体もあり、家庭での分別が大変なことや、分別をうたうラベルやマークが小さい、確認するのが面倒、忙しくて分別していられない、などの原因が挙げられます。

また、分別することに対して、消費者がメリットをあまり感じていないことも大きいです。例えば、海外では、ごみを分別してリサイクルできる製品を返却するとお金が還元される『デポジットシステム』があります」

Q.ネット上では「ペットボトルの分別が面倒」という声があります。なぜでしょうか。

浅利さん「ペットボトルは、開け閉めすれば持ち運びできるなど、便利さを追求して消費者が利用しているのに、分別の段階になると、ラベルやキャップを取り外すひと手間が面倒というギャップが生まれているからだと思います」

Q.調査では、ペットボトルの分別で手間がかかる作業として「ラベルはがし」という声が多くありました。ラベルをはがさずに回収されるペットボトルは、どれくらいありますか。

浅利さん「日本全体での除去率を調べたデータはないと思いますが、横浜市の調査では、市内で回収したペットボトルのうち約30%がラベルが残ったままだったとのことです」

Q.コンビニや駅のごみ箱では、ラベルをはがさず、そのまま捨てられることがほとんどと思われます。それが、ラベルが残ったままのペットボトルがある要因でしょうか。

浅利さん「横浜市の調査は、比較的ラベルはがしに協力的と思われる、家庭からの回収分も含めた数字です。街頭やコンビニ、駅のごみ箱などに限ると、もっと分別は進んでいないと考えられ、分別率を下げていると思います」

Q.ラベル付きで捨てられたペットボトルは、回収業者が専用の機械ではがすのですか。

浅利さん「日本には、大小、数多くの回収業者が存在します。規模の大きな業者では、ラベルを除去する専用の機械を使っているところもあります。一方で、手作業でラベルとボトル本体を分別している業者もあります。いずれにしても、非常にお金や手間がかかります」

Q.ペットボトルのキャップ自体は分別できますが、キャップの下の方の一部はペットボトルに付いたままになります。この部分は回収業者が分別するのですか。

浅利さん「リサイクルのプロセス中、ペットボトルを細かい破片にするチップ化の工程で外れます。素材の比重が異なるため、容易に分別できるといわれています」

Q.使用済みペットボトルのリサイクル率はどれくらいですか。ラベルはがしが浸透すれば、向上するのでしょうか。

浅利さん「現在、リサイクル率はおよそ85%とされています。ラベルはがしが浸透すれば、手間やコストが省けるので、リサイクル率のさらなる向上が見込めます」

Q.分別の負担を感じずに、ごみの分別を行うためには、どうすればよいでしょうか。

浅利さん「地方自治体などによる回収の受け皿を、もっと充実させることがポイントだと思います。例えば、すでに実施している自治体もありますが、分別回収を充実させて、そこに持っていけば、物を確認しながら比較的容易に分別できるシステムにするというのも一つの案です。

また、『デポジットシステム』や買い取りシステムなども有用です。アプリなどで楽しみながら分別をできる仕組みも考えられると思います。日本は他国より厳しい分別基準もありますが、『環境技術先進国』として、さらなるごみの分別に取り組むことが必要だと思います」

(オトナンサー編集部)

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