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高性能だけじゃ売れない 小型ジェット旅客機「MRJ」に立ちはだかる真の壁とは

ものづくり復活のカギと期待される国産旅客機「MRJ」への注目が日増しに高まっていますが、一方では、納期遅れや開発費負担の問題も大きく取り沙汰されています。今回は、その魅力と問題点を専門家に取材しました。

「MRJ」は日本のものづくり復活のカギになれるか(写真は実物ではありません)

 三菱航空機が製造する小型ジェット旅客機「MRJ」(三菱リージョナルジェット)への注目が高まっています。

 MRJは、1962年に初飛行をした戦後初の国産プロペラ機「YS11」以来、約半世紀ぶりに誕生する国産旅客機で、日本の「ものづくり」復活のカギになると期待されています。

 しかし一方では、納期遅れや開発費負担の話題が連日のように報じられるなど、課題も山積と言われるMRJ。オトナンサー編集部では今回、航空業界に詳しい関東学院大学経済学部の塩谷さやか准教授に、その魅力と課題を聞きました。

新型エンジンでCO2を20%以上削減

 塩谷さんはまず、国産旅客機開発の意義について触れます。「世界に対する国力のアピールになります」。航空機産業において、日本企業はこれまで「部品メーカーの色合いが強かった」ため、日本の総合技術力を見せつける絶好の機会といいます。

 国力のアピールにとどまらず一般市民への恩恵はあるのでしょうか。「MRJは70~90人乗りと小型で、航続距離も3000キロ台と短いため、主に国内のハブ空港をつなぐ役割において力を発揮するでしょう。そのため、インバウンド(訪日外国人)やアウトバウンドといった旅客需要とは、さほど関係がありません」。ただし、航空機産業が国内に根付いていくことで、関連産業に従事する市民は恩恵にあずかれるといいます。

 MRJには大きなライバルが存在します。カナダのボンバルディア社とブラジルのエンブラエル社のリージョナルジェットです。両社のジェットに比べて、MRJの優位性はどこにあるのでしょうか。

 塩谷さんは「燃費」「静かさ」「快適性」の3点から説明します。「MRJはギアドターボファンという米国製の新型エンジンを採用しているため燃費が良く、騒音も少ないです。また客室をゆったりと設けているのも大きな特徴です」。燃費は、CO2排出量を20%以上削減、騒音については約50%減らすことに成功しているそうです。

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塩谷さやか(しおたに・さやか)

関東学院大学経済学部経営学科准教授

博士(国際経営学)、元ハーバード大学客員研究員、元日本航空国際線客室乗務員。初等科から聖心女子学院で過ごす。卒業後、日本航空に国際客室乗務員として入社。1999年フォーダム大学留学、2000年同大首席卒業、早稲田大学アジア太平洋研究科修士課程入学。02年同大MBA取得、07年同大博士号取得。近年、マサチューセッツ工科大学経営学大学院(スローンスクール)にて技術経営学修士(MOT)も取得。桜美林大学経営政策学部専任講師、同大ビジネスマネジメント学群准教授、ハーバード大学アジアセンター客員研究員などを経て、16年から関東学院大学経済学部経営学科准教授、現在に至る。日本の航空業界へ「空の活性化」を目指した政策提言を行い、民間・行政機関問わず多くの顧問や研究員、助言者として活躍する。