「ホワイト企業はブラック企業よりも少ない残業で儲かっている」投稿話題に、両者の違いとは?
ホワイト企業は仕事の配分がうまいので、ブラック企業よりも少ない残業で儲かっている――。こうした趣旨の投稿が話題となりました。経営や働き方の部分で、両者には実際、どのような違いがあるのでしょうか。

SNS上で先日「ホワイト企業は、ブラック企業よりも少ない残業で儲かっている」という趣旨の投稿が話題となりました。投稿者はその理由として「ホワイト企業は残業しなくても仕事が終わる。つまり、仕事の配分がうまい。それはマネジメント層が優秀or管理方法が標準化されているから」「そして効率化されコストダウンもしている」と分析。これに対し「皆が見習うべき」「ブラック企業って、従業員が暇してるのをものすごく嫌うよね」「ホワイトが有能というよりはブラックが無能なだけ」「管理職の裁量って大きい」など、さまざまな声が上がりました。
いわゆるホワイト企業とブラック企業には実際、上記のような違いがあるのでしょうか。オトナンサー編集部では、企業経営に詳しい関東学院大学経営学部の塩谷さやか准教授に聞きました。
社員への気遣いが売り上げにつながる
Q.そもそも「ホワイト企業」とはどのような企業を指すのでしょうか。
塩谷さん「一般的にホワイト企業と呼ばれる企業の特徴として『労働生産性を高める労働環境を整えている』『顧客も社員も大事にする』という要素が挙げられます。労働生産性向上に最も必要なのは、社員を気にかけているという姿勢を常に示すこと。早出や残業、休日出勤の頻度といった労働状況を把握し、過度の時間外労働をセーブするなど、常に社員の健康を気遣う働きかけがあるかどうかが、ホワイト企業の基準の一つだと思います。また、福利厚生に力を入れているかどうかも大きなポイントです。福利厚生の充実度は、その企業が社員に『お金と時間をかけているか』を見極める指標になります。その内容はさまざまですが、たとえば、海外留学や資格取得の支援制度、社員の学習意欲やスキルアップを支援する制度を整えている企業は、社員の仕事に対するインセンティブや組織へのロイヤリティーを高めやすく、ひいては労働生産性の向上に好影響を与えていると思われます。正規雇用を積極的に行っていれば、これらの福利厚生を通じて多くの社員のケアを徹底するスタンスも読み取れます。また、人事評価の透明性(年齢で判断しないなど)が高いかどうかもポイントとなります」
塩谷さん「こうした企業の姿勢が社員に伝わると、社員は『会社に大事にされている』と感じます。すると、会社のために仕事を頑張るようになり、顧客を大事にする意識やサービス向上へとつながります。そして、企業に対する顧客の印象アップによって売り上げが伸び、さらなる利益を生み出すことができるのです。こうした好循環を作り上げられるのが、ホワイト企業の大きな特徴と言えるでしょう。これらの中で該当する要素が多いほどホワイト企業に近いものと思われます」
Q.逆に「ブラック企業」の特徴とはどのようなものでしょうか。
塩谷さん「まず、いつも人員が不足しており、人の出入りが激しいことが挙げられます。こうした企業は『未経験可』などの条件で求人を出している場合が多く、比較的簡単に入社できるイメージがあります。一人あたりの給料を低めに設定して大量採用をする一方、退職していく人も多く、結果的に人員の出入りが激しくなるのです。1人当たりの人件費を安く抑えるため、外国人(特にアジア圏)や非正規の雇用者が多い傾向も見られます。非正規の場合は時給制であることが多く、お金を稼ぐためにできるだけ長時間働くことを望む人も少なくないでしょう。つまり、長時間労働を自ら行う、もしくは行わざるをえない状況が生まれやすいのです。また、ホワイト企業と大きく異なる点として『社員を大事にしない』ことも特徴です。『福利厚生がない』『評価制度が不透明(年功序列)』などのほか、労働状況を把握しようとしないので長時間労働やサービス残業が日常的に行われているケースも少なくありません。なお、一部企業に限りますが、反社会的勢力とつながりのある企業もブラック企業と言えるでしょう」
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