トランプ政権誕生でどうなる「日本の空」 生産移転なら中部経済に大打撃も!?
2017年1月に米国の第45代大統領に就任するドナルド・トランプ氏。TPPをはじめ自由貿易体制に反対する同氏ですが、トランプ政権の誕生は“日本の空”にどんな影響を及ぼすでしょうか。専門家に話を聞きました。
米大統領選で民主党のヒラリー・クリントン候補に勝利し、2017年1月に第45代大統領に就任する共和党のドナルド・トランプ氏。
環太平洋経済連携協定(TPP)をはじめ貿易自由化に反対するトランプ氏ですが、米国でトランプ政権が誕生することは“日本の空”にどんな影響を与えるのでしょうか。
オトナンサー編集部では、航空業界に詳しい関東学院大学経済学部の塩谷さやか准教授に話を聞きました。
不採算路線に“改革の波”が押し寄せる?
塩谷さんは、トランプ氏がビジネスマン出身であることを理由に「自国の利益のためには、さまざまな対日要求を突きつけてくるでしょう」と危惧します。その一つが「オープンスカイのさらなる推進」。オープンスカイは「航空自由化」のことで、「企業数、路線及び便数に係る制限を2国間で相互に撤廃すること」(国土交通省)を意味します。
オープンスカイはインバウンド(訪日外国人)需要の取り込みが期待できるなど、日本の航空会社にとってメリットが多いと言われていますが、塩谷さんは現状に懐疑的です。「日本の航空会社に現在、そのような経営体力はありません」。
一方、航空産業は各国で分業しているのが実情ですが、保護主義的政策を掲げるトランプ氏は、米国内での新たな雇用創出のため、「現在、三菱重工業や富士重工業などが行っている米ボーイング向けの部品輸出を、米国内での製造に切り替え、内製比率を向上させようとするかもしれません」。
たとえ、日本企業が分業から排除されなかったとしても、米国に生産移転を求められるといった事態が起これば、日本の航空産業を担う中部経済にとって逆風となる恐れがあるといいます。
また、トランプ氏が選挙期間中、米国内の航空管制の民営化に言及したことについては、「今後の動向次第で日本への飛び火も十分に考えられます」。その結果、日本において、「公益性を盾に維持されてきた不採算路線の改革が始まる可能性もあります」。
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