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歩道を歩いていたら、後ろから「自転車のベル」鳴らされイラッ “道交法”違反じゃないの!? 弁護士が解説

自転車に乗った人が歩道を通る際、歩行者に対してベルを鳴らした場合、道路交通法違反に問われる可能性はあるのでしょうか。弁護士に聞きました。

自転車に乗った人が歩道を通る際、歩行者にベルを鳴らすと道路交通法違反に問われる?
自転車に乗った人が歩道を通る際、歩行者にベルを鳴らすと道路交通法違反に問われる?

 歩道を歩いているときに、後ろから自転車で近づいてきた人にベルを鳴らされたことはありませんか。自転車に乗った人が歩道でベルを鳴らす行為について、SNS上では「歩道でベル鳴らす自転車の方が邪魔」「自転車のベルは人をどかすためにあるものではない」などの声が上がっています。

 自転車に乗った人が歩道を通る際、歩行者に対してベルを鳴らした場合、道路交通法違反に問われる可能性はあるのでしょうか。芝綜合法律事務所の牧野和夫弁護士が解説します。

自転車で歩道を走行すると道路交通法違反に

 道路交通法では、自転車は「軽車両」とされているため(2条11号)、歩道と車道の区別のある道路において、原則、車道を通行しなければならないと定められています(17条第1項)。違反すると「3カ月以下の懲役、または、5万円以下の罰金」に処される可能性があります。

 ただし、道路標識などにより、歩道を通行することができるとされている場合(63条の4第1項1号)や車道や交通の状況に照らして、自転車の通行の安全確保のため、歩道を通行することがやむを得ない場合などは、自転車で歩道を走ることができると定められています(63条の4第1項3号)。

 なお、警察庁は、自転車の交通違反に対する反則金制度を2026年4月1日から始める方針を決めました。同年4月以降に自転車で歩道を走行した場合、道路標識で歩道を通行できるとされている場合や自転車の通行の安全確保のため、歩道を通行することがやむを得ない場合を除き、6000円の反則金を科せられる可能性があります。

 自転車のベルは、法律上では「警音器」と呼ばれています。道路交通法では、危険防止の目的以外で、警音器を鳴らしてはいけないと定められています(54条第2項)。道路交通法で危険防止のためにベルを鳴らせるのは、主に以下のケースです。

・「警笛鳴らせ」の道路標識がある場合

・見通しが悪い場所を通行する場合

・歩行者が自転車に気付かず飛び出してきた場合

 自転車の進行方向をふさぐ歩行者にどいてもらうためにベルを鳴らすことは、危険防止のためベルを鳴らす行為に該当せず、道路交通法に違反することになります。この場合、2万円以下の罰金または科料が科される可能性があります(121条9号)。実際に歩道で自転車のベルを鳴らしたことで、罰金や科料が科されたケースは、ほとんどありません。

 横断歩道などでは「歩行者優先の原則」があるため、自転車の走行時に歩行者にぶつかりそうになった場合、ベルを鳴らして歩行者にどいてもらうわけにはいきません。この場合、自転車を引いて歩くべきです。

(オトナンサー編集部)

【要注意】これが、車の運転時に「道交法」違反に問われる可能性のある“服装”です(画像6枚)

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牧野和夫(まきの・かずお)

弁護士(日・米ミシガン州)・弁理士

1981年早稲田大学法学部卒、1991年ジョージタウン大学ロースクール法学修士号、1992年米ミシガン州弁護士登録、2006年弁護士・弁理士登録。いすゞ自動車課長・審議役、アップルコンピュータ法務部長、Business Software Alliance(BSA)日本代表事務局長、内閣司法制度改革推進本部法曹養成検討会委員、国士舘大学法学部教授、尚美学園大学大学院客員教授、東京理科大学大学院客員教授を歴任し、現在に至る。専門は国際取引法、知的財産権、ライセンス契約、デジタルコンテンツ、インターネット法、企業法務、製造物責任、IT法務全般、個人情報保護法、法務・知財戦略、一般民事・刑事。

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