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東京都で配布開始から6年…難病患者らのための「ヘルプマーク」は浸透したのか?

全国に先駆けて、東京都で「ヘルプマーク」の配布が始まり、間もなく6年。しかし、世の中の理解や認知には、まだまだ課題があります。

「ヘルプカード」のデザイン(東京都福祉保健局提供)
「ヘルプカード」のデザイン(東京都福祉保健局提供)

 内部障害のある人や難病を患う人が身に着ける「ヘルプマーク」の配布が始まって、間もなく6年になります。東京都で始まった動きは他の道府県にも広がりつつありますが、世の中の理解や認知はまだまだです。SNS上では「それ恥ずかしくない?と言われた」「君、障害者なの? そうは見えないと言われた」などの投稿も見られます。

 現状について、東京都の担当者に取材しました。

JISマークに加わり、認知拡大に期待

「ヘルプマーク」は、義足や人工関節、内部障害(内臓の機能障害)、難病など外見上分かりにくい困難がある人が、必要な援助や配慮を得やすくなるように身に着けます。軟らかい樹脂でできており、ベルトでかばんなどに着けて、自分の障害や助けてほしいことを書いたシールを貼ることもできます。

 東京都が2012年10月、全国で初めて配布を開始。都営地下鉄や都営バスの営業所、都立病院などで配布しています。その後、北海道や神奈川県、大阪府などにも広がり、2018年6月末時点で、全国24都道府県で配布されています。2018年7月、日本工業規格(JIS)の図記号にも加わりました。

「ヘルプマーク」の現状について、東京都福祉保健局障害者施策推進部の島倉晋弥・共生社会推進担当課長に聞きました。

Q.どのような経緯で誕生したのですか。

島倉さん「2012年の都議会で、右脚に人工股関節を入れている山加(やまか)朱美都議(当時)が『外見からは障害があると分かりにくい方々が周囲に配慮を求めやすくなるよう、マークを作ってはどうか』と提案し、都議会での議論を経て、その年の10月から配布が始まりました」

Q.デザインはどのように決まったのですか。また、赤を基調にした意図は。

島倉さん「デザインは、緑茶飲料『伊右衛門』なども手掛けたアートディレクターの永井一史さんが担当しました。『+』マークとハートマークという、誰もが知っているシンボルを組み合わせることで、『援助や手助けが必要』だと周囲の人が直観的に把握し、すぐ行動に結び付けられることを狙っています。赤を基調にしたのは『ヘルプ=普通の状態ではない』ということを発信するためです」

Q.都内では、どれくらい配ったのですか。

島倉さん「2018年3月末時点で約21万9000個です」

Q.理解や認知度はいかがですか。

島倉さん「所持者からは、もっと社会に広まってほしいという意見が届いています。認知度向上が課題で、駅や百貨店でのポスター掲示やイベントでのチラシ配布、飲料の自動販売機への説明掲示などを行っています」

 実際に「ヘルプマーク」を着けた人を見かけた時、東京都福祉保健局は「電車やバスの中では、席を譲る」「駅や商業施設などで困っていたら、声をかける」「災害時は、安全に避難するための支援を行う」よう呼び掛けています。外見では健康に見えるため優先席に座りにくかったり、階段の昇降が困難だったり、自力での避難が困難だったりするためです。

 赤地に「+」と「ハート」のマークが目印です。

(報道チーム)

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