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「定年退職制度」は年齢差別? “高齢化”世界一の日本が抱える「健康な高齢化の10年」への課題

全員が「当事者」として課題を考える

 そして4つ目は、「必要な高齢者に介護サービスを提供する」こと。これについては、日本は2000年に介護保険制度ができ、既に20年以上がたってその利用も進んでいますから、ある程度はクリアできているといえそうです。「親の面倒は、子どもやその配偶者が最後まで見なければならない」という価値観が色濃く残っていた時代には、多くの人が仕事などを犠牲に親の介護をしてきたわけですが、その頃とはかなり違ってきています。

 もちろん、介護保険の財源不足、給付と負担のバランス、被保険者と受給者の範囲の見直し、給付内容や水準の見直し、介護現場における職員の人材不足や処遇改善、ロボットやITの活用など検討課題はたくさんありますが、介護保険制度が、高齢化が進む中で広く安心感を提供しているとはいえるでしょう。

 日本は高齢化の先頭を走る国ですが、「健康な高齢化の10年」における4つの行動計画に照らせば、まだまだ課題は多くあることが分かります。誰しもいつか高齢者になるわけですから、これらの課題は全員が当事者として考えてみる必要があるでしょう。また、ここで見てきた課題の解決はノウハウ・仕組み・技術となり、これから高齢化率が高まってくる国々に輸出可能なビジネスとしても期待できるはずです。

(NPO法人・老いの工学研究所 理事長 川口雅裕)

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川口雅裕(かわぐち・まさひろ)

NPO法人「老いの工学研究所」理事長、一般社団法人「人と組織の活性化研究会」理事

1964年生まれ。京都大学教育学部卒。リクルートグループで人事部門を中心にキャリアを積む。退社後、2012年より高齢者・高齢社会に関する研究活動を開始。高齢社会に関する講演や執筆活動を行うほか、新聞・テレビなどのメディアにも多数取り上げられている。著書に「年寄りは集まって住め ~幸福長寿の新・方程式」(幻冬舎)、「だから社員が育たない」(労働調査会)、「チームづくりのマネジメント再入門」(メディカ出版)、「速習! 看護管理者のためのフレームワーク思考53」(メディカ出版)、「なりたい老人になろう~65歳から楽しい年のとり方」(Kindle版)、「なが生きしたけりゃ 居場所が9割」(みらいパブリッシング)など。老いの工学研究所(https://www.oikohken.or.jp/)。

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