「オーケストラ・クラス」ラシド・ハミ監督、移民の子どもを「豊かに描きたい」
映画「オーケストラ・クラス」のラシド・ハミ監督にインタビュー。日本公開にあたっての感想や今後撮りたい作品などを聞きました。
映画「オーケストラ・クラス」(8月18日公開)のラシド・ハミ監督がこのほど、PRのため来日しました。同作は、バイオリニストのシモン・ダウド(カド・メラッドさん)が、移民の子どもが通う小学校の音楽の指導を引き受けます。授業に集中しない生徒たちにシモンが模範演奏をすると、生徒たちは演奏に耳を澄ませ、授業に集中するようになり…というストーリーです。
オトナンサー編集部では、ハミ監督に単独インタビューを実施。日本公開にあたっての感想や今後撮りたい作品などを聞きました。
大人と子ども“2部構成”の現場
Q.日本公開の感想と日本の印象をお願いします。
ハミ監督(以下敬称略)「とても誇りに思います。日本のアニメを見ながら育ちました。今回の来日以前にも日本に来たことがあります。その時にできた友人もおり、大好きな国の一つです」
Q.主演のカド・メラッドさんの印象をお願いします。
ハミ「彼は、本当に素晴らしい俳優であると同時に、全身全霊で役柄に自分のエゴを投入する人で、僕自身、彼に愛情を持っています。人としても素晴らしい人で、才能を一つの作品ごとに惜しまず発揮してくれます」
Q.カドさんとアーノルド役のルネリー君の相性はいかがでしたか。
ハミ「本当の出会いを期待していました。僕は監督として役者に稽古(けいこ)をつけたりしません。カドとルネリーが一緒にいる時間が多くなるようにしました。一緒にご飯を食べたり、遊んだりする時間を増やしました」
Q.撮影現場の雰囲気はいかがでしたか。
ハミ「2部構成のような現場でした。フランスでは、子どもは4時間しか働けません。そのため、彼らが撮影現場に来るまでに、大人は技術的な面を終えていなければなりません。子どもたちが到着したら、バイオリンの演奏を始めます。大人たちが集中して準備する、緊張感あふれる時間と、子どもたちが入ってくるにぎやかなパートの2部構成です」
Q.お気に入りのシーンはどこですか。
ハミ「生徒と先生が一緒に食事するシーンです。カドの『先生の演奏が一番ひどかった』というセリフがありますが、あれは実際にそうでした。本当は先生も演奏に参加する予定でしたが、彼に才能がないことが初期段階でわかりました。彼自身は演奏したがっていたようですが(笑)」
Q.音楽の思い出はありますか。
ハミ「僕自身が、子どもと同じで貧しい区で育ったのですが、クラシックのコンサートで演奏を聴いた時はすごい衝撃を受けました」
Q.今後どのような作品を撮っていきたいですか。
ハミ「僕自身のルーツが移民にあるので、移民の子どもたちがどうやって社会に同化していくか、社会的に出世していくか、ポジションを上げていくかです。いつも同じジャンルではなく、豊かに描いていきたいです」
映画「オーケストラ・クラス」は8月18日から、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国で順次公開。
(エンタメチーム)
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