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ほ、本物のようだ…そしてカラフル! 紙主体で作った“フルート”が話題に、制作者に聞く

大学生が制作した、水彩絵の具を塗った紙が主体の“フルート”が話題となっています。

水彩紙を使った“フルート”。奥は、吹奏楽部時代に吹いていたフルート(えびさわさん提供)
水彩紙を使った“フルート”。奥は、吹奏楽部時代に吹いていたフルート(えびさわさん提供)

 美術系の大学に所属する学生が制作した、ある作品がSNS上で話題となっています。それは“色鮮やかなフルート”です。水彩絵の具を塗った紙を主体に制作したという驚きの作品で、SNS上では「本物のフルートかと思った」「水彩紙で作ったの?」「カラフル」などの声が上がっています。制作した学生に聞きました。

つらかった記憶を作品に込める

 制作したのは、19歳のえびさわさん(ツイッターアカウント名)さんです。実際のフルートと見比べても、各パーツの細かい部分まで正確に再現しています。ピンクやブルーなど淡い色が塗られたボディーは、どこか幻想的なイメージを与えます。

Q.制作したきっかけは。

えびさわさん「大学で『思い入れのあるものを細密描写しなさい』という課題が出たことがきっかけです。『細密描写』の意味を、私は『モチーフを理解して形に表すもの』と考え、自分にとって一番しっくり来る表し方が『実際にフルートを作ること』でした。

そこで、平面ではなく立体作品にしました。課題内容が『水彩で細密描写』だったので、画材は水彩紙と透明水彩絵の具を使おうと思い、水彩紙で制作することにしました」

Q.なぜフルートを選んだのですか。

えびさわさん「中学校3年間と高校1年時、吹奏楽部に所属してフルートを吹いていました。当時は演奏の技術などさまざまな面で大変なことが多く、つらい思い出が多かったです。勉強と部活の両立が難しくなり、高校2年に進級する前に辞めてしまいました。

その後、フルートのことも忘れがちになっていましたが、今回の課題を聞き、真っ先にフルートが浮かびました。吹かなくなってしまったことや、つらい思い出が多いことから、フルートに対してものすごい罪悪感を覚えており、作品にすることでその気持ちを昇華したいと思い、制作しました。

制作中はとても楽しく、でき上がった作品を見ると、フルートが大好きだったということに改めて気付きました。マイナスな気持ちからスタートしましたが、完成して自分のフルートに対する気持ちを再認識できました。制作して心から良かったと思っています」

Q.どのようにして制作したのですか。

えびさわさん「B3の水彩紙に透明な水彩絵の具で色を塗るところから始めました。次に胴の部分となる筒を作り、キーとなる穴を開けた後、各パーツを作り、(スティック状の樹脂で接着する)グルーガンを使って接着しました。フルートのネジや一部の装飾にはビーズを使用しましたが、その他の部分は水彩紙のみで制作しました。部屋にこもって、1週間弱で完成させました」

Q.色鮮やかにした理由は。

えびさわさん「フルートの、優しくて透明感のある音色をイメージしました。キラキラときれいに音が鳴っているイメージも入れたかったので、(塗った部分に絵の具が入り込まないようにする)マスキングインクを使い、キラキラの模様を白抜きしています。さらに、完成後に(光を反射して輝く)スパンコールを接着してキラキラ感が出るようにしました」

Q.苦労したことは。

えびさわさん「実際に持ってみた時、しっくり来るように作るのが大変でした。自分が過去に吹いていたフルートを正確に再現したかったので、見た目に加え、持った時の印象も当時のフルートに近づけるよう意識しました」

Q.どのような意見が寄せられていますか。

えびさわさん「『細かく作っていて良い』『色が好き』などの感想を頂きました。大学で作品を発表した際には『しっかりと作っていて良い』と先生からお褒めの言葉を頂き、なぜかアップでフルートの写真を撮っていただきました(笑)」

Q.今後の目標は。

えびさわさん「今は目の前の課題を粘り強く制作していきたいです。将来の目標はまだ決まっていませんが、コツコツと課題に向き合っていくことが将来につながると思うので、これからも楽しみながら作品を作っていきたいです」

(報道チーム)

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