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不法改造車両で事故…どんな法的責任ある? 弁護士に聞く

10月7日、東京・渋谷駅前のスクランブル交差点で不法改造されたと思われる車両による事故が発生しました。どんな法的責任が問われるのか、芝綜合法律事務所の弁護士・牧野和夫さんに聞きました。

スクランブル交差点の事故現場=7日午後、東京都渋谷区(2023年10月7日撮影、時事)
スクランブル交差点の事故現場=7日午後、東京都渋谷区(2023年10月7日撮影、時事)

 10月7日、東京・渋谷駅前のスクランブル交差点で不法改造されたと思われる車両による事故が発生しました。そこで、不法改造された車両が起こした事故に関して、どんな法的責任が問われるのか、芝綜合法律事務所の弁護士・牧野和夫さんに聞きました。

「危険運転致死傷罪」に危険な改造車の運転は含まれない

Q.いわゆる不法改造された車両で公道を運転すると、どのような罪になるのでしょうか。

牧野さん「公道を走る車両を規定する道路運送車両法54条の2では、保安基準に適合しない改造や改造車の使用を禁止しています。違反時には、最大で6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金(道路運送車両法108条、109条)に処される可能性があります」

Q.不法改造車両で人身事故ではない物損事故などを起こした場合、どんな罪になるのでしょうか。

牧野さん「道路交通法(道交法)62条では、改造車など保安基準に適合しない『整備不良車両』の運転を禁止しています。違反時には、3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金(道交法119条)に処される可能性があります」

Q.では、不法改造車両で人身事故を起こした場合はどうでしょうか。

牧野さん「前述の道路交通法62条の整備不良車両の運転の禁止に加えて、2014年から施行された『危険運転致死傷罪』(危険運転で人を負傷させた者は15年以下の懲役、人を死亡させた者は1年以上の有期懲役)の重罪が成立する様に思われますが、危険運転の定義には、危険な改造車の運転が含まれていないため、『危険運転致死傷罪』とされるのは非常に難しいと思います」

Q.一般的な事故と賠償金などは異なるのでしょうか?

牧野さん「改造車でない保安基準に適合した車両で事故を起こした場合と、基本的には、同様の損害賠償責任が発生しますが、改造車が原因で事故が起きた場合には、改造車側の事故への過失割合が大きくなり賠償すべき損害額が増減される可能性があります」

 不法改造された車両の運転は違法です。そして、不法改造していない車両の運転でも交通事故を起こさないよう、安全運転を心掛けるようにしましょうね。

(オトナンサー編集部)

牧野和夫(まきの・かずお)

弁護士(日・米ミシガン州)・弁理士

1981年早稲田大学法学部卒、1991年ジョージタウン大学ロースクール法学修士号、1992年米ミシガン州弁護士登録、2006年弁護士・弁理士登録。いすゞ自動車課長・審議役、アップルコンピュータ法務部長、Business Software Alliance(BSA)日本代表事務局長、内閣司法制度改革推進本部法曹養成検討会委員、国士舘大学法学部教授、尚美学園大学大学院客員教授、東京理科大学大学院客員教授を歴任し、現在に至る。専門は国際取引法、知的財産権、ライセンス契約、デジタルコンテンツ、インターネット法、企業法務、製造物責任、IT法務全般、個人情報保護法、法務・知財戦略、一般民事・刑事。

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