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昔はよくやっていたけど…学校で余った給食 実は無断持ち帰りNG 法的根拠を弁護士に聞く

教員や生徒が給食の際に余った食べ物を無断で持ち帰った場合、法的責任を問われる可能性はあるのでしょうか。弁護士に聞きました。

給食のときに余ったパンや牛乳などを無断で持ち帰った場合の法的責任は?
給食のときに余ったパンや牛乳などを無断で持ち帰った場合の法的責任は?

 多くの小中学校では給食を実施していますが、生徒が欠席した際に牛乳やパンなどが余ることがあります。もし教員や生徒が給食の際に余った食べ物を無断で持ち帰った場合、法的責任を問われる可能性はあるのでしょうか。芝綜合法律事務所の弁護士・牧野和夫さんに聞きました。

窃盗罪、横領罪が成立する可能性

Q.そもそも、学校で余った給食を無断で持ち帰る行為は、法律などで規制されているのでしょうか。

牧野さん「規制されています。学校給食法9条では、『学校給食の実施に必要な施設および設備の整備および管理、調理の過程における衛生管理その他の学校給食の適切な衛生管理を図る上で必要な事項について維持されることが望ましい基準(以下この条において『学校給食衛生管理基準』という)を定める』とあります。

また、文部科学省が、同法に基づき示した『学校給食衛生管理基準』では、『パン等残食の児童生徒の持ち帰りは、衛生上の見地から、禁止することが望ましい』『パン、牛乳、おかず等の残品は、全てその日のうちに処分し、翌日に繰り越して使用しないこと』と明記されています」

Q.では、教員や生徒が給食のときに余った食べ物を無断で持ち帰った場合、どのような法的責任を問われる可能性があるのでしょうか。

牧野さん「たとえ余ったとしても、保護者が支払っている給食費もしくは公費を使って用意されたパンや牛乳などの給食を無断で持ち帰って食べた場合、私的に消費したことになります。

余った給食は食べることができれば、法律上は財物に該当するため、実際に摘発されるかどうかは分かりませんが、刑法235条の窃盗罪(10年以下の懲役または50万円以下の罰金)や刑法252条の横領罪(5年以下の懲役)が成立する可能性があります。

また、民法の不法行為や不当利得行為に該当し、民事上の損害賠償責任を負う可能性があります」

Q.学校の給食を無断で持ち帰ったことで法的責任を問われた事例について、教えてください。

牧野さん「2019年12月、大阪府堺市の定時制高校の男性教員が、生徒への支給時に余った給食のパンと牛乳を4年間にわたって持ち帰り続けたとして、懲戒処分を受け、依願退職したと新聞などが報じました。報道によると、持ち帰った給食の総額は約31万円で、男性教員は弁済したということです」

(オトナンサー編集部)

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牧野和夫(まきの・かずお)

弁護士(日・米ミシガン州)・弁理士

1981年早稲田大学法学部卒、1991年ジョージタウン大学ロースクール法学修士号、1992年米ミシガン州弁護士登録、2006年弁護士・弁理士登録。いすゞ自動車課長・審議役、アップルコンピュータ法務部長、Business Software Alliance(BSA)日本代表事務局長、内閣司法制度改革推進本部法曹養成検討会委員、国士舘大学法学部教授、尚美学園大学大学院客員教授、東京理科大学大学院客員教授を歴任し、現在に至る。専門は国際取引法、知的財産権、ライセンス契約、デジタルコンテンツ、インターネット法、企業法務、製造物責任、IT法務全般、個人情報保護法、法務・知財戦略、一般民事・刑事。

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