「13の理由」ブライアン・ヨーキーさんに聞く “いじめ”を扱う難しさ、なくすために必要なこと
Netflixオリジナルドラマ「13の理由」制作総指揮のブライアン・ヨーキーさんが来日。高校生の主人公の元に、自殺したクラスメートからテープが届く物語について、米国での反響やドラマ化の経緯を聞きました。
Netflixオリジナルドラマ「13の理由」で制作総指揮を務めた、ブライアン・ヨーキーさんがPRのため来日しました。同作は、高校生のクレイ・ジェンセン(ディラン・ミネットさん)の元に、2週間前に命を絶ったクラスメートのハンナ・ベイカー(キャサリン・ラングフォードさん)が録音したカセットテープが届きます。そこには、ベイカーが自殺に至った“13の理由”が録音されており…SNSなどを通した友情や恋愛など、現代社会の抱える闇をリアルに映し出した作品です。
オトナンサー編集部では、ヨーキーさんにインタビュー取材を実施。ドラマ化の経緯や米国での反響、いじめを扱う作品を作る時の注意点などについて聞きました。
会話や議論が生まれるのは良いこと
Q.ドラマ制作の経緯を教えてください。
ヨーキーさん(以下敬称略)「めいが14歳の時に勧めてきました。しかし、14歳のめいに言われたので、その時はまじめに聞きませんでした。いざ読んでみると、面白く重要な話だと理解できました。数年後にテレビプロデューサーがテレビドラマ化しようとしているのを知って、自分も関わりたいと動きました」
Q.反響はいかがでしたか。
ヨーキー「いろいろな反響がありました。まず大勢の方が見たことに驚きました。そして去年の春から夏にかけて、いろいろな場所で議論や話し合いが起きました。賛否両論で、激論もありました。しかし、会話や議論が起きることは良いことです」
Q.日本でもクレイのように、大切な友人を失うまで行動できない人が多い気がします。
ヨーキー「いろいろな人の行動や言動が他の人に影響を与えると知ってもらって、悩んでいる人にちょっとひと言、声をかけるとか、気持ちを話せる環境にしたり、手助けできる環境になればいいと思います」
Q.さまざまな場所で、いじめによる自殺が起きています。なくすには、どうしたらよいと思われますか。
ヨーキー「その質問に答える資格があるかどうか分かりません。いじめも多くのクリエーターが経験しています。どうやっていじめをなくしていくか、答えはすぐに出ませんが、こういうことがあるという事実を見て、若者たちが自分たちが言ったこと、やったことがどういう結果になるか考えてくれればと思います」
Q.いじめや自殺をテーマに扱う作品を作る時、どんなことに注意されていますか。
ヨーキー「こういうものを扱う時は、できるだけ正確に忠実に伝えたいと思っています。顧問や医者、法的なアドバイザー、性的暴力に関する知識を持った方など、できるだけリアルな形で見せていきたいと思っています」
Q.ハンナ役のキャサリン・ラングフォードさんはどんな女性ですか。
ヨーキー「素晴らしい女性で、素敵で元気いっぱいで、優しい人です。ハンナは闇の中にいるようなシーンが多いのですが、キャサリン自身は光り輝く女性です」
Q.共感できる登場人物はいますか。
ヨーキー「クレイですかね。いじめ役ではなかったし、いじめられる方でもありませんでした。何か干渉するわけでもなく、遅すぎるところまで何もしない方でした。いろいろな感情を持っても口にしませんでした。クレイが自分に秘めていた気持ち、ハンナがどれだけ好きだったか、失った空虚な気持ちをやっと表現できることに共感しました」
Q.後半に進むにつれて大変な現場になっていったと思いますが、キャストたちの雰囲気はいかがでしたか。
ヨーキー「大変なシーンを演じる俳優さんたちには、心の支えなどを準備し、心理学者やセラピストからこんな気持ちになると話してもらいました。しかし、実際にああいう大変なシーンを撮る時は、雰囲気はシリアスなんですが、穏やかな雰囲気でもありました」
Q.Netflixでの配信を選んだのはなぜでしょうか。
ヨーキー「僕が選んだのではなく、Netflixが選んでくれたんです(笑)Netflixは世界中で配信でき、多くの人に見てもらえるのが利点です。同時に力強いバージョンを作りたいという気持ちが同じでした。また、何分以内に収めるとか、広告が必要とか縛りもなく、自由に作らせてくれました。人々が見て、いろいろ話せるようなものを作らせてくれる、という考え方がぴったりでした」
Q.シーズン2はどんな話になるのでしょうか。
ヨーキー「シーズン2はハンナの両親が裁判を起こし、それがメインになります。いろいろなキャラが出てきて証言台に立ちます。そうすると、ハンナのテープになかった事実が浮かび上がります」
「13の理由」シーズン2は、5月18日より独占配信スタート。
(エンタメチーム)
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