オトナンサー|オトナの教養エンタメバラエティー

西田敏行&塩見三省「アウトレイジ 最終章」振り返る 西田「理不尽さに痛烈な皮肉」

最終的にアンチバイオレンス作品

Q.現場の雰囲気はどのようなものでしたか。

西田「チャンバラごっこをやる直前の男の子たちのような興奮状態でした。芝居が始まる直前で控えてる時も高揚感だけが伝わってきて、これから面白い遊びを皆でやるぞ、という感じで、役に没頭して入るというより、これからどうやって遊ぼうかというような高揚感だけでした。敵対する役同士が、現場以外でもなるべく顔を合わせないみたいな子どもっぽい役作りはしていません」

塩見「クランクインで西田さんが猛烈なマックスな芝居をしてくるから、びっくりしました。『僕は(リハビリで)2年間芝居してなかったけど芝居ってこんなすごいもんだったんだ』と感じるくらい強烈でした。でも西田さんの芝居を見ていると『この人は俺の兄貴だ』と感じてきて、初日から芝居にしっかり入ることができました」

西田「出演者の年齢が高いので大人の現場でしたね。監督も熱中している時は寡黙でカメラの位置を指示して演者に任せてくれました」

Q.ヤクザ映画はだいぶ少なくなってきていると思いますが、今、ヤクザ映画を撮る意味や出演する意義を教えてください。

西田「深作欣二監督がやろうとしていたヤクザ映画の意識を北野監督は持っているかもしれませんが、それはあくまで形態であり、ヤクザ組織は、国にも例えられれば会社組織に置き換えられるとも考えられます。『アウトレイジ』は最終的にはアンチバイオレンスな映画だと思っています。暴力はこれくらい冷酷で、大上段に構えて常識的に訴えるのではなくエンターテインメントにしてみせるというところに監督の表現形態があるのではないかと思っています。一般の社会でも理不尽なことはあります。そういう理不尽さに痛烈な皮肉を込めて訴えているように思えます」

塩見「今回はヤクザの姿を借りて、人間のどこが恥ずかしくて醜いところなのかとかを表している。例えば相撲業界もアウトレイジっぽい。そういう意味では西田さんと同じようにエンターテインメントの力を借りた、普遍的な立ち位置の人たちがうごめいている欲望の映画だと思っています」

Q.共感されるキャラクターはいますか。

西田「僕が演じた西野に関して言えば、組長を素人に奪われ、追いやられ、保身の気持ちが強い男です。そういうところは共感しますね。皆弱いアホな人間やなと思いつつ、自分もそうかなと思って演じています。大友も最後はああなるわけですから。会社に追い詰められてどうにもならなくなり、義理を通して、自分が身を引くことで収めようとすることは、政界を見ていても、切られていく人間や、保身のためにうそをついて出世する人間もいたり一緒だと思います」

塩見「僕が演じた中田は、自分の中に仁義があり、裏切るにしても裏切らないにしても、自分も映画を見ている人も共感できます。そう描かれているんじゃないかな。西田さんが別のインタビューの中で『墓の前で西野はよくやったと先代に言われるだろう』とおっしゃっていまして、なるほどと思いました。僕も『中田よくやった。頑張ったな』と思いますが、中田は結構西野に振り回されてしまったなというところはあります(笑)」

Q.アウトレイジのファンの方にひと言お願いします。

西田「『アウトレイジ』を見てくれている方というのは非常に幅広く、映画が好きな、映画を愛している人たちだなと感じています。あなた方に見ていただき、あなた方が面白かったと言ってくれる作品は間違いなく面白い映画です。いっぱい見てくれてありがとう。これからも北野作品で活躍できる役者でいたいと思っています」

塩見「映画は映画館で見るのが基本なんですが、DVDで個人的に見るのもすごく味わい深い映画なので、ぜひ見てください」

(エンタメチーム)

1 2

コメント