オトナンサー|オトナの教養エンタメバラエティー

  • HOME
  • ライフ
  • “代引き商品”の受け取りを拒否する行為に「自分勝手」「取り締まって」の声、法的には?

“代引き商品”の受け取りを拒否する行為に「自分勝手」「取り締まって」の声、法的には?

ネット通販の普及に伴い「代引き」に関するトラブルが増加。SNS上では「商品到着後に受け取りを拒否されて、代金を支払ってもらえなかった」という販売者の嘆きに対して、怒りや同情の声が上がっています。受け取り拒否の法的問題とは。

代引き商品の受け取りを拒否したら…?
代引き商品の受け取りを拒否したら…?

 通信販売の「代引き」に関するトラブルが先日、SNS上などで話題になりました。代引きは、荷物を受け取る際に商品代・送料・手数料を支払うサービスですが、商品到着後に「注文をキャンセルし忘れた」などの理由で受け取りを拒否するケースが増加しているといいます。食料品の場合、返品されると再度商品にできないため、「キャンセル不可」としている販売者も多いですが、「キャンセルできないならレビューに悪い評価をつける」などと脅す悪質な購入者もいるようです。

 こうした消費者の行動について「自分勝手だな」「後払いシステムの難しさを感じる」「取り締まれないのかな」などさまざまな声が上がっていますが、代引きの受け取り拒否にはどのような法的問題があるのでしょうか。芝綜合法律事務所の牧野和夫弁護士に聞きました。

「クーリングオフ」が認められるかどうか

Q.代引きで注文した商品を、到着後に受け取り拒否した場合、購入者にはどのような法的問題があると考えられますか。

牧野さん「すでに売買契約は成立していると考えられますので、原則として契約違反になり、それによって生じた損害を賠償する責任が発生するでしょう。ただし『クーリングオフ』(一定期間内に売買契約の取消権を消費者に与えるもの)が法律上もしくは利用規約で認められていれば、一定期間内に売買契約の取り消しが可能です」

Q.それは、商品到着後のキャンセルに関する注意書きや事前通知があった場合となかった場合で異なるのでしょうか。

牧野さん「クーリングオフが法律上もしくは利用規約で認められていれば、契約を取り消して商品の受領を拒絶することができますが、そうでない場合には、注意書きや事前通知がなくても原則として契約違反になり、それによって生じた損害を賠償する責任が発生します」

Q.商品の受け取りを拒否された場合、販売者は損害賠償請求などの措置を取れますか。

牧野さん「販売者は契約違反の場合に、それによって生じた損害賠償を購入者へ請求することができるでしょう。前述の通り、すでに売買契約は成立していると考えられますので、原則として契約違反になります。また、不法行為にも該当し、受領拒否によって生じた損害賠償を購入者へ請求することができるでしょう(民法709条)」

Q.特に、再販売できない商品(食品など)の受け取りを拒否された場合、販売者はさらに強い措置を取れるのでしょうか。

牧野さん「販売者は通常、再販売できない商品の場合には『返品不可』と明記していると思われます。この場合、クーリングオフも認めていないので、契約違反によって生じた損害賠償を購入者へ請求することができるでしょう」

Q.購入者が販売者について悪質なレビューや評価をつけた場合、販売者は何らかの法的措置を取ることができますか。

牧野さん「購入者が販売者に損害を与えることを意図した場合でも、不注意であっても、デマ情報を流して損害を与えた場合、営業妨害、信用毀損や名誉毀損の不法行為に基づき、発生した損害を賠償する責任を負う可能性があります(民法709条)」

(ライフスタイルチーム)

牧野和夫(まきの・かずお)

弁護士(日・米ミシガン州)・弁理士

1981年早稲田大学法学部卒、1991年ジョージタウン大学ロースクール法学修士号、1992年米ミシガン州弁護士登録、2006年弁護士・弁理士登録。いすゞ自動車課長・審議役、アップルコンピュータ法務部長、Business Software Alliance(BSA)日本代表事務局長、内閣司法制度改革推進本部法曹養成検討会委員、国士舘大学法学部教授、尚美学園大学大学院客員教授、東京理科大学大学院客員教授を歴任し、現在に至る。専門は国際取引法、知的財産権、ライセンス契約、デジタルコンテンツ、インターネット法、企業法務、製造物責任、IT法務全般、個人情報保護法、法務・知財戦略、一般民事・刑事。

コメント