柄本佑、前田敦子は「色気のある真っ白いキャンバス」
編集者・末井昭さんの自伝エッセイを映画化した「素敵なダイナマイトスキャンダル」で、末井さんを演じた柄本佑さんと、その妻・牧子を演じた前田敦子さんに共演の感想などを聞きました。
編集者・末井昭さんの自伝エッセイを映画化した「素敵なダイナマイトスキャンダル」(3月17日公開)。母親が隣家の息子とダイナマイト心中をした経験を持つ末井青年(柄本佑さん)は田舎を飛び出し、昼は工場勤務、夜はデザイン学校の生活から看板デザインの経験を経て、エロ雑誌の世界へと足を踏み入れるも、わいせつ文書販売容疑をかけられ……という末井さんの半生を描くヒューマンドラマです。
オトナンサー編集部ではこのほど、柄本佑さんと末井さんの妻・牧子を演じた前田敦子さんにインタビュー。末井さんの人柄や共演の感想、冨永昌敬監督の演技指導などについて聞きました。
末井さんと顔似てるんだよね
Q.末井さんの生き方に憧れますか。
柄本さん(以下敬称略)「末井さんのやったことはすごくて、憧れはしないけど、こういうことができたのは携帯電話がないからだろうなと思います。信用するしかないですから。一回バレたら信頼は崩れてしまいますが、確かめようがないわけですから。逐一どこか公衆電話から電話したら信用してもらえるものでもありません。携帯がないからこういう振る舞いができたんだろうなと思います。こういう風にある種、規制なく面白いことなら何でもできたのは時代の熱量といいますか、警察でもすぐ逮捕ではなく寄り添いながら、人と人のやり取りが豊かだったので、面白いものが生まれたんだろうなと思います」
前田「恋人としてなら楽しいと思います。でも、牧子さんは結婚後も楽しめてますし、楽しんだ者勝ちなのかなと思います。最初は好青年っぽいじゃないですか。牧子はそれにだまされたのかなと思います」
柄本「ウブでね。最初はなんとなく年上のお姉さんっぽかったしね」
前田「違う方向に一人で走っていきましたからね。昔の人は放っとくんでしょうね。結婚って、1〜2年の話ではなく何十年の話じゃないですか。なので、それくらいの年になったら相手への興味をなくすのかなと思います」
Q.共演された印象をそれぞれお願いします。
柄本「この人はうちの弟(柄本時生さん)が仲良くさせてもらっていて、個人的にも会ったことがありますが、お芝居で仕事をするのは初めてです。この人の持つ、いろいろなところで言ってはいるのですが『僕のあっちゃん』にしたくなる魅力があり、『色気のある真っ白いキャンバス』みたいです。ただ、ほかにも言葉がありそうなんですけどね。とりあえずそれで。そういう魅力がありますよね。それは色気でしょうし、女優さんとしては非常に大事な要素です。監督にどう誤解させるかっていうことですからね。まるで、僕のあっちゃんになったかのようになってくれるし、人の目線によって変わる天性のものとしか言いようがない」
前田「佑さんは人として面白い方だし、時生に『お兄ちゃんはかっこいいんだ』と刷り込まれていきました。すごいんですよ。絶対お兄ちゃんの話が出るんですよ。二人でしゃぶしゃぶ食べてたら佑さんから電話があったりもしました」
柄本「そういう事があるから関係が遠くないんですよ。現場でもよくしゃべるし」
前田「優しいんですもん。皆に優しいし、役柄の寄り添い方も圧を感じさせず、すごくひょうひょうとしていてかっこいいお兄ちゃんでした」
柄本「もっと褒めていいよ」
前田「本当に今回の役ぴったり。佑さん以外考えられないです」
柄本「末井さんと顔似てるんだよね」
前田「この間初めて末井さんにお会いしたんですけど、不思議な感じがしました。末井さんってこんな感じかな、というイメージがつかなかったのですが、さらにイメージと全然違うところにいる人でした」
Q.実際に共演になると照れ臭さとかありましたか。
前田「私はうれしかったですね」
柄本「僕も単純にうれしくて楽しみでした。現場であって『あっちゃ〜ん』みたいな感じであいさつして。どういう芝居で来るんだ、いよいよ演技対決だぜ、みたいなのはありません」
Q.柄本さんと末井さんがピッタリとおっしゃっていますが共通点などはありましたか。
柄本「やっぱり単純に顔が似てると思いました。若い時の写真とか見るとそっくりではないけど目が小さいのが似てるのかな。捉えどころがない人ですね。監督と一緒に最初から最後まで末井さんの流れをさらっていって、ある瞬間までは誰もが共感できる青春映画であると。ある点からサスペンスに変わります。末井昭という人が、いい人だか悪い人だか分からなくなります。何を考えているかわからない空っぽになってきて、そういうカオスな世界に入り込んでいきたいという話になっていました。末井さんがどうというよりは、監督と話して撮影を進めていき、監督がそういうようにしてくれました」
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