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東映ビデオ・佐藤現P、オリジナル映画の魅力は「自由に追求できる醍醐味」 「犬猿」で感情リアルに

「犬猿」は理想の4人をキャスティング

Q.「犬猿」の企画はいつ頃からあったのでしょうか。

佐藤「吉田恵輔監督と一緒にやった『ばしゃ馬さんとビッグマウス』の公開が2013年。その後、吉田監督と『また一緒にやりたいですね。どんな話なら面白いか』と二人で酒を飲みながら話していて、元々吉田監督が兄弟モノ・姉妹モノを別々の話として考えていたネタを、一本にしたら面白いんじゃないかというアイデアを聞き、それは面白くなりそうだと盛り上がりました。数カ月後には吉田監督から初稿があがってきて、その時点ですごく面白かったです。兄弟姉妹ってものすごく普遍的なテーマで、兄弟姉妹がいる人ってものすごい割合でいるじゃないですか。いろいろな人の心に響くなと思ったし、愛憎劇として近親憎悪や嫉妬を描きながら、その根底にある家族愛が感じられる非常に良い映画になるのではないかと思いました」

Q.吉田監督はどんな人でしょうか。

佐藤「ひと言で言うと変わっていて面白い人。感性が独特です。人と目の付け所が違うというか、常に物事を斜めから捉えて、そこのおかしみみたいなのを常に探している人だと思います。その人間観察力が、人に見られたくないような裏側というか、気恥ずかしい面や気まずい局面にそっとカメラを入れるような、意地悪なコメディー描写が抜群にうまいところに結びついているんだと思います。でもそれだけじゃなくて、吉田監督の映画には人は愚かで滑稽なんだけど愛すべき存在である、という温かさもあります。映画同様に、本人も照れ屋で普段はふざけたことばかり言っているけど、根底は情の深い人なんだろうと思います」

Q.窪田さん、新井さん、江上さん、筧さんのキャスティングはどなたが考えられたのでしょうか。

佐藤「初稿ができて2人で話した時に、監督が理想として挙げた4人をキャスティングすることができました。兄弟については私も同意見でしたね。窪田君と仕事するのは今作で4回目なんですけど、天賦の才能とストイックな精神を兼ね備えた俳優だと思っていて全面的に信頼しています。新井君も『百円の恋』でご一緒して、ものすごく目に色気があって魅力的な俳優だし、粗暴なあんちゃん役は彼のオハコですしね。姉妹に関しては吉田監督がイメージしていたのが江上さんと筧さんでした。江上さんは、ニッチェのコントの演技も悲哀があってとても素敵なんですが、映画に出るのは初めて。筧さんもモデル・女優として活動する一方、今回ほどがっつりと演技をした経験はそこまでなかったはずですが、吉田監督はこの2人ならきっとやれると。これまでの作品でも芸人さんやアイドルの俳優としての才能を開花させていますし、吉田監督は演技経験がそこまでない人のポテンシャルを見極める能力が高いんです」

Q.共感したキャラクターはいますか。

佐藤「僕は実際に2人兄弟の弟なので、そういう意味では窪田君演じる和成ですね。兄に多かれ少なかれ影響を受けている部分もあるし、うちは仲は悪くないけど多少はライバル的に思っている部分もあるし、小さい頃は比較されたこともあります。終盤の救急車のシーンで新井君演じる卓司が言うセリフ『小さい頃、お前は俺のこと好きだったんだよ』は何度見てもグッと来ますね」

Q.あのシーンは「嫌いだけどいなくなっては困る」「好きだけど嫌い」みたいな相反する感情がぶつかり合う良いシーンですね。

佐藤「そうですね。とても好きなシーンです。あと、身内のことを冗談っぽくけなしたりするけど、人に言われたら腹が立つ心理っていうのは、特に同性の兄弟がいるとよくあります。そこは監督とディスカッションして、あるシーンに取り入れてもらいました。兄弟姉妹のいる人や一人っ子に、誰に自分を投影したか聞くと皆違うので面白いです」

Q.「犬猿」の魅力と見どころをお願いします。

佐藤「一番近くにいる人だから抱くような愛憎半ばする感情をリアルに描いている作品で、兄弟姉妹がいる人はきっと胸に刺さる映画です。兄弟がいない人でも、自分にとって距離の近い人に置き換えて見てほしいですね。ただ単に犬猿の仲の兄弟の確執を描いているだけでなく、根底にある切っても切れない感情をあぶり出しているので、ぜひ多くの人に見て共感してもらいたいですね。103分間笑って泣いて、オリジナル脚本でこんなに面白い映画ができるんだと感じてもらえたらうれしいです」

(オトナンサー編集部)

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