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「してまう」を敬遠し「しちゃう」を使う関西の若者が増加…関西弁は衰退しつつある?

人々の交流がある限り、関西弁はなくならない 

Q.関西弁はなくなってしまうのですか。

西尾さん「将来的に関西の方言が標準語に完全に置き換わるかというと、そうではないと予想します。方言は元々、誰か特定の人によって作られたものではありません。地域の経済的・歴史的・文化的な独自性や、地域内の人々の交流によって発生するものです。そのため、方言がなくなるかどうかという話は、人々に『地域的独自性』が忘れ去られるかどうか、という話に近いと考えます。言語的に、関西弁が標準語に近づいたとしても、その方言を人々が地域の象徴として『関西弁』と呼び続ける限り、関西弁はなくなりません。地域を大事に思えば、方言は中身を変えても残ります。ただし、そうやって方言が残っても、世代間の『コテコテ/マイルド』感のギャップ状態は続くでしょう」

Q.関西弁であるはずの「めっちゃ」「しんどい」などが東京(関東圏)で広まっているのはどうしてでしょうか。

西尾さん「直接的には、関西弁を話すタレントがマスメディアに出演していることや、インターネット上の動画投稿、SNSが盛んなことが影響していると思います。関東に関西弁が進出する場合のポイントは『接触』であり、関東の人が関西弁に接触する機会はマスメディアやネットメディアということになります。キー局のテレビ番組でも、お笑い芸人をはじめ関西弁を話す出演者を見ない日はありません。関東の人は日常的に関西弁と接触しているのです。テレビについては『京』『上方』という地域の伝統的な経済的・文化的な力が関西弁をテレビに登場させ続けているのでしょう。関東圏の言葉で、そのような『攻勢』は関西弁からしか受けないのではないでしょうか。標準語や東京弁に食い込んだ『めっちゃ』『しんどい』はメディアに乗ることで、その他の地域にも浸透しているはずです。ネットやSNSについては、公共性のあいまいさゆえに日常の言葉(=方言)が多く出ていますが、ここでも関西弁は優勢です。今後、関東人が関西弁と接触する機会が増えれば、関東の言葉にも関西弁由来の言葉が増えていくかもしれません。また、近年は各地域の独自性がもてはやされ、方言が重視されています。それは、着々と進行する首都圏一極集中に対する人々の危機感の表れのようにも思えます」

(オトナンサー編集部)

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