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「ちむどんどん」「ちゅらさん」「純と愛」朝ドラの舞台に沖縄が選ばれるワケ

圧倒的な自然美

 とはいえ、1961年に始まった朝ドラの歴史において「ちゅらさん」はスタートから40年後の作品です。なぜ、それまで沖縄が舞台にならなかったかというと、1972年の本土復帰まで米国の占領下にあったこと、つまり「外国」だったことが大きいのでしょう。

 それゆえ、かつては活躍する芸能人も少なく、また散発的でした。しかし、1990年代以降、その活躍は目覚ましいものに変わります。安室奈美恵さんやSPEEDの4人をはじめとする音楽関係、新垣結衣さん、比嘉愛未さんのような役者関係、山田優さん、ryuchellさんのようなモデル関係と、全国でも有数の芸能人輩出地となりました。

「ちむどんどん」でヒロインとヒロインの母を沖縄出身者同士にできたのは、まさにそんな変化の象徴でしょう。

 さらにもう一つ、朝ドラにおける沖縄人気の高さを考えるうえで外せないのが、自然の美しさです。

 3月27日に放送された「上白石萌歌が行く!沖縄の大自然」(NHK総合)の中で、黒島さんは沖縄の自然について「色が全然違うと思います」と表現。「やんばるの緑の色もそうだし、海の色も違うし、一段階、濃い気がします」と誇らしげに語りました。

 自然の美しさについても、沖縄にしかない魅力があるというわけです。特に最近は、テレビ放送の画質が高まり、また、コロナ禍で海外旅行をしにくい状況でもあるので、家にいながらにして自然の美しさが味わえる沖縄朝ドラは、うってつけと言えます。

 残り5カ月、「ちむどんどん」は沖縄らしさと朝ドラらしさを存分に味わわせてくれそうです。ヒロインたちと一緒に“ちむどんどん”しながら楽しむとしましょう。

(作家・芸能評論家 宝泉薫)

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宝泉薫(ほうせん・かおる)

作家、芸能評論家

1964年岐阜県生まれ。岩手県在住。早大除籍後「よい子の歌謡曲」「週刊明星」「宝島30」「噂の真相」「サイゾー」などに執筆する。近著に「平成の死 追悼は生きる糧」(KKベストセラーズ)、「平成『一発屋』見聞録」(言視舎)、「あのアイドルがなぜヌードに」(文春ムック)など。

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