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「TOKYO MER」好調、賀来賢人がヒット作に巡り合う打率はなぜ高いのか

女性の“もえ”をくすぐる魅力

 駆け出し時代、瀬戸康史さんや三浦翔平さんと共に新体操部員を演じた「タンブリング」(TBS系)しかり、現在、松坂桃李さんや菅田将暉さんと共演中の「花王 アタックZERO」のCMしかり。男同士で、わちゃわちゃしているのも似合うのです。

 こういう姿は女性の“もえ”をくすぐります。古くはビートルズもそこがアイドル的人気につながりましたし、ジャニーズ系やLDH系の強さもそこにあります。

 そんな“もえ”をくすぐる魅力は「TOKYO MER」の第9話でも発揮されました。佐藤栞里さん演じる主人公の妹とひそかに思いを寄せ合いながらも、彼はまったく恋には奥手、もしくは堅物という設定。相手からお菓子の好みを聞かれて、「チョコ、ですかね」と消え入りそうな声で答える場面が話題になったものです。

 恋愛要素の少ないこの作品において、唯一とも言うべき、そういうものを賀来さんと佐藤さんが担っているわけです。

 特に実際の賀来さんは32歳の妻子ある男性。にもかかわらず、こんなうぶな演技もできてしまうところもまた、持ち味の一つです。野球でいえば、自然体の広角打法。そこがまさに、作品をヒットさせる打率の高さにつながっているのでしょう。

(作家・芸能評論家 宝泉薫)

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宝泉薫(ほうせん・かおる)

作家、芸能評論家

1964年岐阜県生まれ。岩手県在住。早大除籍後「よい子の歌謡曲」「週刊明星」「宝島30」「噂の真相」「サイゾー」などに執筆する。近著に「平成の死 追悼は生きる糧」(KKベストセラーズ)、「平成『一発屋』見聞録」(言視舎)、「あのアイドルがなぜヌードに」(文春ムック)など。

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