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全話平均14.5%! 「七人の秘書」高視聴率の理由と続編の可能性

最終回の平均視聴率16.7%、全話平均視聴率は14.5%を記録し、有終の美を飾ったテレビ朝日系連続ドラマ「七人の秘書」。視聴率獲得に成功した理由は何でしょうか。

木村文乃さん(2020年1月、時事)、広瀬アリスさん
木村文乃さん(2020年1月、時事)、広瀬アリスさん

 12月10日に最終回が放送、平均視聴率16.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録し、有終の美を飾ったテレビ朝日系連続ドラマ「七人の秘書」。第1話から、13.8%、13.7%、13.4%、14.8%、15.2%、14.6%、13.9%と高視聴率で推移し続けたことで注目を集めました。

 主演を務めたのは女優の木村文乃さん。他に広瀬アリスさん、菜々緒さん、シム・ウンギョンさん、大島優子さんが秘書役を演じ、室井滋さんが情報屋、秘書たちの元締め役として江口洋介さんが出演するなど、その豪華なキャスト陣も話題となりました。

 全8話の平均視聴率が14.5%を記録するなど今クール最大のヒット作となった同ドラマが人気を集めた理由について、テレビドラマに詳しいライターの田幸和歌子さんに聞きました。

中高年男性をメインターゲットに

 同ドラマは、普段、秘書として働く望月千代(木村さん)たちが裏稼業として人助けをする「影の軍団」を結成し、あらゆるネットワークを駆使して社会の理不尽から人々を救うストーリー。1話完結型で物語が進んでいく同ドラマは「どこから見始めても安心して楽しめる気軽さが人気を集めた理由の一つ」と田幸さんは評します。

「ストーリー自体も難解に作り込まれているような作品ではなく、シンプルで分かりやすい構図が気軽に見てもらえると視聴者に受け入れられたのではないでしょうか」(田幸さん)

 さらに、他の作品でも主演を張れるくらいの豪華なキャスト陣をそろえられたことも成功の要因の一つといいます。

「メインキャストたちが一堂に並んだときの画面の華やかさ、醸し出されるワクワク感はこのドラマの大きな魅力。木村さんも主演という立ち位置ながら、引きの演技でチームとしてのバランスを保っているので、それぞれのキャラクターが重なることもなく、良い意味でバラバラに見えるのです」

 また、近年のテレビドラマとは一線を画した狙いが垣間見えると田幸さんは話します。

「近年のテレビドラマは個人視聴率やSNSの盛り上がりを評価の指標とする傾向がある中、このドラマは従来通りの視聴率獲得を目指して作られているのではないかと考えられます。旧態依然の価値観や女優たちの水着シーンが毎話描かれるなど、割り切って中高年の男性をメインターゲットに据えているような演出が多く見られ、それが高視聴率を獲得できたことに結び付いたのではと思うのです」

 視聴率獲得に成功した同ドラマについては、続編が制作される可能性が高いと考えられるそうです。

「テレ朝のドラマによく見られる“七人の”というフレーズからも、続編を見越して制作されたものではないかと推察できます。『正義の味方が悪者を懲らしめる』という分かりやすい構図で安心するフォーマットはテレ朝ドラマの必勝パターンで、成功を収め続けてきた戦略の一つです」

「最終回ではさらに、政治批判や『半沢直樹』を思わせるせりふを盛り込みつつ、最後の最後で、意外な“7人目”としてナレーションの岩下志麻さんを登場させました。描き方、解決法はあくまで浅薄ですが、視聴者を楽しませようというサービス精神は旺盛で、そこが見やすさになっているのだと思います」

 続編成功の鍵を握るのは、現在の形を貫くことと田幸さんは指摘します。

「変にテコ入れを行ったり、キャストを代えたりすると視聴者が離れてしまう危険性があるくらい、『七人の秘書』は現在の形がしっくりきています。ドラマ好きの女性に評価を得ようとしたり、新たな視聴者層を取り込もうとするのではなく、確実に数字を取りにいくために中高年の男性をメインターゲットに据え続け、現在の形を貫き通すことが続編成功の鍵ではないかと思うのです」

(オトナンサー編集部)

田幸和歌子(たこう・わかこ)

ライター

1973年長野県生まれ。出版社、広告制作会社勤務を経て、フリーランスのライターに。Yahoo!公式コメンテーター「エンタメライター」。週刊誌・月刊誌・ウェブ等で俳優・脚本家・プロデューサーなどのインタビューを手掛けるほか、ドラマコラムをさまざまな媒体で執筆中。エンタメ記事は毎日2本程度執筆。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)、「KinKiKids おわりなき道」「Hey!Say!JUMP 9つのトビラが開くとき」(いずれもアールズ出版)など。

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