想定外の注目も味方に? 北村匠海のフラットな魅力とブレークの予感
映画「とんかつDJアゲ太郎」やドラマ「おカネの切れ目が恋のはじまり」が想定外の事態に見舞われた北村匠海さん。「フラット」なその魅力に筆者が迫ります。

11月3日、日経トレンディによる「2020年ヒット商品ベスト30」「2021年ヒット予測30」先行発表会が行われ、フリーアナウンサーの田中みな実さんと俳優の北村匠海さんが出席しました。
田中さんは「今年の顔」、北村さんは「来年の顔」に選ばれたことが出席理由です。実はもう一人、「今年の顔」には俳優の伊藤健太郎さんも選ばれていますが、不祥事により欠席となりました。
また、その4日前には映画「とんかつDJアゲ太郎」の初日舞台あいさつが行われ、主演の北村さんが複雑な胸中を明かしました。というのも、この映画には前出の伊藤さんや、やはり、不祥事を起こした伊勢谷友介さんも出演しています。
コメディーなのに笑えない状況になっていることについて、北村さんは「正直、この映画をフラットに見てくれる人がどれだけいるのかという不安な気持ちがある」と言葉を詰まらせながら語ったのです。
「おカネの切れ目が恋のはじまり」は三浦春馬さん急逝で…
しかも、彼の周りで起きた想定外なことはまだあります。最新の出演ドラマ「おカネの切れ目が恋のはじまり」(TBS系)は三浦春馬さんの急逝により、全8話の予定が4話に短縮されました。
というように、北村さんにとっては不運なことが続いたのですが、その分、注目度がアップしています。特に「おカネの切れ目が恋のはじまり」最終回では、当初の予定以上の存在感を発揮しました。
彼はもともと、ヒロインの松岡茉優さん、三浦さんに次ぐ3番手だったのですが、最終回の収録に三浦さんがほとんど参加できなかったため、その代わりのような立場を任されることになったからです。
それは生き別れていた父親に会うため、伊豆へと旅するヒロインに同行するというもの。父親は過去に横領で逮捕されていて、ヒロインはそのせいで極端な節約家になるなど、金銭感覚をこじらせています。そんな父娘の再会を北村さん扮(ふん)する会社の後輩がこんなせりふでアシストするのです。「僕、こんなに幸せにお金を使う人見たことないです」。
先月出版された「火曜ドラマ おカネの切れ目が恋のはじまり シナリオブック」(KADOKAWA)には当初の8話分に加え、変更後の最終回の脚本も掲載されていて、この役回りが三浦さんから北村さんに代わったことが分かります。北村さんは持ち味というべき素直な明るさで「代役」をしっかりと務めました。
三浦さんの遺作としてこのドラマを見た人にも、北村さんの演技は印象に残ったことでしょう。
もちろん、想定外なことばかりではなく、北村さんは予定通りの仕事もきちんとこなしています。8月公開の映画「思い、思われ、ふり、ふられ」では、恋と家族を巡って葛藤する高校生を好演。2017年の映画「君の膵臓をたべたい」でも一緒だった浜辺美波さんとともに、着実に成長していることを感じさせました。
そんな北村さんの魅力を一言で表現するなら、イケメン性と普通っぽさの共存でしょう。イケメンと呼ばれる俳優たちの中でも群を抜く身近さや親しみやすさ。それこそ、前出の舞台あいさつで彼が口にした「フラット」な魅力です。
もっとも、「フラット」を直訳すれば、「平らであること。起伏がないこと。平たん」となり、ちょっと伝わりにくいかもしれません。ちなみに「フラット」は音楽用語としても使われていて、半音低い音を意味します。北村さんの魅力はこの2つの要素を合わせたもののように感じるのです。
すなわち、普通っぽくて身近なのだけど、どこか変わっているようでもあり、そこが記憶に残りやすい演技につながっているのではと。その理由を考えながら発言を見ていくと、彼が実に正直な人だということが分かります。
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