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【漫画】笑顔でパスポートを見せても、雑談に夢中で無視するフランス人に怒り 「寂しくなります」

フランス人の夫を持つ女性がフランスに入国したときのエピソードを描いた漫画が話題に。空港の入国審査カウンターで、笑顔でパスポートを見せた女性でしたが…。

漫画「フランス入国の時」のカット=Carly(カーリー)(carly_japance)さん提供
漫画「フランス入国の時」のカット=Carly(カーリー)(carly_japance)さん提供

 フランス人の夫を持つ女性がフランスに入国したときのエピソードを描いた漫画がSNS上で話題となっています。空港の入国審査カウンターで、笑顔でパスポートを見せた女性。しかし、職員は同僚との雑談に夢中で、女性を完全に無視しながらパスポートを確認し…という内容で「同じ経験をしたことがあります」「寂しくなりますよね」「それでもあいさつをすることは大切です」などの声が上がっています。作者の女性に聞きました。

日本との文化の違いが興味深い

 この漫画を描いたのは、Carly(ペンネーム)さんです。フランス人の夫と日本で生活し、エッセー漫画をインスタグラムで発表しています。

Q.漫画を描き始めたのは、いつごろからでしょうか。

Carlyさん「物心ついた頃から、棒人間の絵で4コマ漫画を描いていました。日常の面白かったことや不思議だったことをまとめていて、大人たちに『オモシロイ』と言ってもらえるのが本当にうれしかったのを覚えています。

高校以降はめっきり描いていなかったのですが、結婚して、ストレスで会社を辞めてしまったときに、夫に『好きなことをしてみなよ』と言われて。描きたいことはたくさんあったし、また誰かに『オモシロイ』と思ってもらえたらうれしいし、夫の転勤でどこに行っても漫画ならどこでも続けられる!と思い、また描き始めました」

Q.今回の漫画を描いたきっかけは。

Carlyさん「フランスでは、店員さんの気分が乗らなかったりすると、雑に扱われるのは珍しいことではないんですよね。私はそれでもいいと思っているんです。店員さんだって、いろんな気分のときがありますから…でも、顔さえ見てもらえないのは初めてだったので、悲しさや怒りがあって漫画に描こうと思いました。

そして何よりこれ、日本では絶対ありえなくないですか? 入国審査官が仲間とのおしゃべりで仕事の手を抜くなんて! この文化の違いが興味深いと思ったのもきっかけの一つです」

Q.フランスであいさつを無視されるのは、よくあることなのですか。

Carlyさん「今回のように、あいさつも無視、顔も見ないってパターンは珍しいと思うのですが、相手に雑に扱われる話はよく聞きます。本当に自分の気の向くまま仕事をしている人が多いと思います。逆に、日本のパスポートを見て『こんにちは! 元気ですか?』とわざわざ日本語で話しかけてくれる空港職員さんもいましたし、地元のワインの説明に熱が入って、おしゃべりが止まらない店員さんにも会ったこともあります。

いつも完璧にお仕事をこなさなければいけない日本に比べ、自由に働ける感じをうらやましく思うこともあります」

Q.ご自身では、いつでもどこでも、にこやかにあいさつをすることを心がけているのでしょうか。

Carlyさん「はい。フランスでも日本でも、店員さんに笑顔であいさつをするようにしています。そうすると、オマケをしてもらえたり、現地の人しか知らない情報をくれたり、お疲れ顔の人が笑顔になったりして…あいさつって、本当に気持ちがいいなと思います。日本では、お店に入ったときにお客さんからあいさつをする習慣はあまりありませんが、この習慣が日本国内でもメジャーになるとすてきだなと思います」

Q.心の中で思っていることを、いつか本人に言ってみたいですか。

Carlyさん「済んだことはもういいので、本人に伝えたい気持ちはないのですが、もしもまた無視されることがあったら(ないと願いたいですが!)、夫が教えてくれたあいさつを実践してみたいと思います」

Q.フランスの街中で、あいさつに関するトラブルに遭遇したことはあるのでしょうか。

Carlyさん「言い争いではありませんが、バスにあいさつなしで乗り込んだお客さんに、運転手さんが『あいさつくらいしたらどうなの?』と言っているのを見かけたことがあります。それくらい、あいさつって大事なんだなと思う一方、じゃあなぜ無視する人がいるの!?って感じですよね。フランスはいろいろなルーツの人が住んでいるので、考え方も人それぞれなんだろうなあと思っています」

Q.漫画について、どのような意見が寄せられていますか。

Carlyさん「『おしゃべりしててもいいから、せめて、一言返すか、顔は見てほしい』という同調の意見もたくさん頂きました。フランスやその他の国で態度の悪い職員や店員に会った経験がある人もたくさんいて、『海外あるあるなんだなあ』と思いました。むしろ、日本が神対応なだけで、自分の気分のまま働くのが人間の自然な姿でいいのかもと思うくらいですね。

一番印象に残っているのは『私もあいさつを無視されて、落ち込んだときがあったけど…“あいさつは強制じゃない”と聞いた。それから、見返りを求めず、自分が気持ちよく過ごせるようにあいさつをしていこうと思っています』とコメントしてくださった方です。今は『あいさつをしたら、返すのがマナーでしょ(体調不良を除き)』と思っていますが、こんな余裕のある考え方もすてきだなと思いました」

Q.創作活動で今後、取り組んでいきたいことは。

Carlyさん「引き続き、文化の違いをメインに発信できたらと思っています。私はHSP(人より感受性が高い性質がある)なのですが、5人に1人はこの性質を持っていると言われていて、人知れず困っている方も多いようなので、これについても描いていけたらいいなと思っています! インスタグラムでは、コメントでもたくさん学んだり笑わせてもらったりしているので、そういう交流もできるだけ大切にしていきたいです」

(オトナンサー編集部)

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