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帰省は避けるべき? 都内で再び感染者増、いま私たちが心掛けるべきこと

地方への帰省は避けるべきか

Q.都内のほか、隣接する神奈川、千葉、埼玉の3県でも感染者が増えつつありますが、緊急事態宣言の発令時と同じように注意深く生活していれば、特に慌てる必要はないのでしょうか。また、感染を防ぐために、改めて心掛けるべきことはありますか。

森さん「慌てることはありませんが、通勤や通学で行き来がある首都圏は一つの生活圏と考えられるので、感染拡大の傾向にある1都3県の動向を注意深く見ていくことが必要です。その上で『感染する、させるリスク』を下げる行動を続けることが大切です。

すでに、多くの人が習慣として行っていると思いますが、『流水での丁寧な手洗いや手指消毒』『3密(密集、密閉、密接)を避けること』が基本です。より詳しく言うと、『換気』『人と人との距離をできれば2メートル、最低1メートル以上保つ』『室内での会話、会議の場、人が密集する場でのマスク着用』『飲食の場では大皿での取り分けや回し飲みをしない』『大声で騒がない』『席で向き合う配置を避ける』などの行動です。

特に、飲み会やカラオケ、劇場など大きな声を出すシーンでの集団感染が何件も確認されているので、グループで集まる場は注意が必要です。このほか、『テレワーク』の継続、会議のオンライン化など、感染リスクを下げる働き方が引き続き求められています」

Q.7月から8月にかけて、首都圏から地方への帰省を予定している人もいるかと思います。やはり、感染者が増加している状況下では帰省は避けた方がいいのでしょうか。

森さん「感染が拡大している地域からの移動は実質的にウイルスを持ち運ぶことになり、訪問先の地域に感染を広げる可能性があります。実際、東京都の感染者増加に伴い、東京帰りの人の感染が地方で確認されたケースも発生しています。この状況をしっかり受け止める必要があると思います。

地方の医療提供体制は首都圏ほど整備されていない場合も多く、感染が拡大すれば、病床が不足したり、新型コロナ以外の医療に影響が及んだりすることも考えられます。帰省する場合は、出発の数日前から行動に気を付け、発熱や息切れ、味覚や嗅覚の異常など体調に変化がないことを確認した上で出掛けてください。

無症状の感染が全体の18%(7月15日現在)という実態もありますので、体調にかかわらず感染拡大防止の取り組みが重要です。訪問先での会食やレジャーなど人が集まる場では特に心掛けてほしいと思います。

7月には『海の日』『スポーツの日』を含む4連休、8月はお盆休みがあります。また、観光業、飲食業、イベント業、商店街での消費を促す目的で国の『Go To キャンペーン』が始まる予定です。医療関係者や一部の知事をはじめ、このタイミングでのキャンペーン開始を疑問視する声があることを真摯(しんし)に受け止めて、帰省や旅行の時期を判断してほしいと思います」

(オトナンサー編集部)

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森まどか(もり・まどか)

医療ジャーナリスト、キャスター

幼少の頃より、医院を開業する父や祖父を通して「地域に暮らす人たちのための医療」を身近に感じながら育つ。医療職には進まず、学習院大学法学部政治学科を卒業。2000年より、医療・健康・介護を専門とする放送局のキャスターとして、現場取材、医師、コメディカル、厚生労働省担当官との対談など数多くの医療番組に出演。医療コンテンツの企画・プロデュース、シンポジウムのコーディネーターなど幅広く活動している。自身が症例数の少ない病気で手術、長期入院をした経験から、「患者の視点」を大切に医師と患者の懸け橋となるような医療情報の発信を目指している。日本医学ジャーナリスト協会正会員、ピンクリボンアドバイザー。

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