“虹プロ”フィーバーの必然 「NiziU」は日本のアイドル業界を根底から変えるか
オーディション番組「虹のかけ橋」が最終回を迎え、ユニット名「NiziU」と9人のデビューメンバーが発表されました。これほど注目を集め、ブレーク確実と言われる理由を解説します。
6月26日午前1時ごろ、世界で活躍できるガールズグループの発掘をテーマに放送されていたオーディション番組「虹のかけ橋」(日本テレビ系)が最終回を迎え、ユニット名「NiziU」と9人のデビューメンバーを発表。ツイッターのトレンドランキングに複数のワードがランクインするなど、深夜にもかかわらず大きな反響を集めました。
さらに、一夜明けた26日8時40分ごろから、情報番組「スッキリ」(同)で約1時間30分にわたる特集が組まれ、メンバーたちが生出演。再びツイッターのトレンドランキングをにぎわせ、合格メンバーへの祝福、落選メンバーへの励まし、世界配信されるプレデビューアルバムへの期待、さらには、番組終了による「虹プロ(Nizi Projectの略)ロス」の声が飛び交っています。
そもそも、このオーディションは日本のソニー・ミュージックと韓国の芸能事務所JYPの共同開催であり、オーディションで歌って踊られるのは韓国の楽曲ばかり。そのため、当初は「K-POPファン以外注目されないのでは?」という声も上がっていましたが、右肩上がりで注目度を上げて年代・性別を問わない人気コンテンツになり、今や「ブレーク確実」と言われています。
なぜ、デビュー前の少女たちを集めたオーディション番組がこれほどの注目を集め、早くもブレークが確実視されているのでしょうか。その理由を掘り下げていくと、虹プロが日本のアイドル業界を変えるきっかけになりそうなムードを感じてしまうのです。
「誰が見ても分かる」レベルの高さ
デビュー前の少女たちを集めたオーディション番組がこれほどの注目を集めた理由は、主に「希少性」「ハイレベル」「メディア戦略」の3点。
かつては、モーニング娘。などを輩出した「ASAYAN」(テレビ東京系)のようなオーディション番組が多かったものの、最近はほとんど見られなくなりました。しかも、虹プロは「オーディション参加総数1万人以上」「日米10カ所で地域予選、4泊5日の東京合宿、半年間の韓国合宿」という一大スケール。少女たちが10代の大切な時期をささげ、涙と笑顔を見せながら全力で挑む姿は希少かつ新鮮であり、感動を誘いました。
人々の熱狂度をさらに上げたのは、ハイレベルな候補者たち。歌とダンスのレベルは、これまでに日本で放送されたオーディション番組では見られなかった高さがあり、驚きとともに魅了される人が多かったのです。
NiziUが早くも「ブレーク確実」と言われているのは、応援し続けてきた人々の愛着に加えて、歌とダンスが世界を目指せるほどのポテンシャルを秘め、成長を促すレッスンを重ねてきたから。番組放送中、ネット上に「日本人にもこんなにすごい女の子たちがいるんだ」という声が何度となく上がっていたように、アイドルファンではない人が、パッと見て分かってしまうほどのパフォーマンスを見せ続けていました。
また、虹プロはメディア戦略の巧みさも際立っていました。今年1月にHuluの配信番組「Nizi Project」がスタートし、4月には、日本テレビで深夜番組「虹のかけ橋」が放送開始。さらに、朝の情報番組「スッキリ」でも約5カ月間で31回にわたって特集が組まれ、この2週間は連日放送されました。さらに3月から、YouTubeで「Nizi Project」が公開されたほか、オーディションの課題曲を音楽サブスクリプションサービスで聴くこともできます。
つまり、テレビでは朝と深夜、ネットでは有料と無料の両方で楽しめるなど、人々が才能豊かな少女たちを知るきっかけが、かつてないほど多かったのです。
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