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“コロナに効果”で不足? 「BCG」が子どもにとって持つ意味、小児医療に影響は?

もう一つの“医療崩壊”の危機?

Q.ワクチンの不足が続くと、小児医療にどのような影響があるのでしょうか。

森さん「ワクチン不足が続けば、乳幼児が結核発病の危険にさらされることにつながります。日本では毎年、生まれてくる赤ちゃんの数に合わせてワクチンを製造しているため、新型コロナウイルスによる成人のニーズに一部の医療機関が応えたことで、BCGワクチンの供給が滞りました。

4月に取材した小児科の医師は、ニーズの急増によって通常時期の3倍以上の出荷となり、小児科に安定供給されない状況を『赤ちゃんを守れなくなる“医療崩壊”の危機だ』と話しました。国から標準接種期間が示されているため、その時期に該当する子の親たちの不安も大きいと思います」

Q.かかりつけ医で「ワクチンが不足している」と言われた場合、どのようにすればよいのでしょうか。

森さん「取材した小児科クリニックの院長によれば、現在は接種対象者へ優先的に供給されるよう、実績のないクリニックへの供給は控えられているようです。地域によって、ワクチン不足解消時期に多少の差があるかしれませんが、『少し待ったとしても、きちんと接種できる状況になっているので心配しないでほしい』と話していました。

また、子どもの定期予防接種は『特別な事情』がある場合は接種時期の延長措置があり、市区町村が認めた場合、特別な事情がなくなった日から2年以内であれば接種できます(ただし、BCGは4歳未満の年齢制限あり)。ワクチン不足で接種期間内に接種できない場合は、市区町村の窓口に相談することをおすすめします」

(オトナンサー編集部)

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森まどか(もり・まどか)

医療ジャーナリスト、キャスター

幼少の頃より、医院を開業する父や祖父を通して「地域に暮らす人たちのための医療」を身近に感じながら育つ。医療職には進まず、学習院大学法学部政治学科を卒業。2000年より、医療・健康・介護を専門とする放送局のキャスターとして、現場取材、医師、コメディカル、厚生労働省担当官との対談など数多くの医療番組に出演。医療コンテンツの企画・プロデュース、シンポジウムのコーディネーターなど幅広く活動している。自身が症例数の少ない病気で手術、長期入院をした経験から、「患者の視点」を大切に医師と患者の懸け橋となるような医療情報の発信を目指している。日本医学ジャーナリスト協会正会員、ピンクリボンアドバイザー。

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