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王道ラブコメ「恋はつづくよどこまでも」が最強の“医療ドラマ”でもある理由

ヒットの背景に、重い医療ものを避ける傾向?

 また、当事者同士が忙しくて、周囲にハプニングが起きやすいほど恋は揺れがちです。そういう意味で、医療と恋愛という組み合わせはドラマ的に相性抜群だったりします。

 それを裏付けるのが、昭和の大ヒットドラマ「ありがとう」第2シリーズ(1972~73年、TBS系)です。水前寺清子さんが一本気で純情なナース、石坂浩二さんが強気なイケメン医師を演じ、2人の恋の行方を週刊誌が特集するなど、社会現象になりました。

 最高視聴率は56.3%。他の医療関係者同士の恋や、患者を巡るエピソードも随所に盛り込まれ、涙と笑いにあふれた王道ラブコメ医療ドラマの金字塔といえます。

 それにしても、今期の連ドラは医療ものが6本も並ぶ中、「恋つづ」が大当たりを見せているのは興味深い事実です。そこには、最近の世相も関係しているのでしょう。

 ニュースやワイドショーで、新型肺炎についての危険が叫ばれていることもあって、フィクションでまで重くて暗めな医療ものを見るのは避けたい傾向もあるのでは、と。そんな中、医療ものでも突き抜けた明るさを持つ「恋つづ」が支持されたというわけです。

 イソップ童話「北風と太陽」になぞらえるなら、ウイルスの嵐が吹き荒れる今の日本。視聴者という名の旅人は、太陽型の「恋つづ」に安心を求めたのかもしれません。

 また、この作品は10代から20代にかけての男女の視聴率が高いようです。このところ、若者のドラマ離れが指摘されていますが、本来、ドラマが好きだった層を呼び戻してもいるわけです。さらには「恋つづ」によるときめきの再発見が、恋愛離れという近年の風潮にも歯止めをかけるかもしれません。

 いわば、時代を癒やす特効薬。まさに、最強の“医療ドラマ”なのです。

(作家・芸能評論家 宝泉薫)

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宝泉薫(ほうせん・かおる)

作家、芸能評論家

1964年岐阜県生まれ。岩手県在住。早大除籍後「よい子の歌謡曲」「週刊明星」「宝島30」「噂の真相」「サイゾー」などに執筆する。近著に「平成の死 追悼は生きる糧」(KKベストセラーズ)、「平成『一発屋』見聞録」(言視舎)、「あのアイドルがなぜヌードに」(文春ムック)など。

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