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深川麻衣、西野七瀬、若月佑美…乃木坂46卒業生の“女優”としての躍進が目立つ理由

さまざまなクリエイターとの出会い

西野七瀬さん(Getty Images)
西野七瀬さん(Getty Images)

 一方で、映像作品では、アイドルの“本業”ともいえる、楽曲を通した演技活動をしています。

「乃木坂46はシングル楽曲をリリースするたびに、ミュージックビデオとは別に、“個人PV”と呼ばれる短編映像作品を制作してきました。個人PVとは、メンバー個々人を主役にしたショートフィルム。例えば、デビューシングル『ぐるぐるカーテン』のときは、稼働メンバーが33人いたため33本の個人PVが制作され、その33本すべてを別々のクリエイターに依頼しています。

監督を務める33組の作家には、映画を数多く手がける映像監督もいれば、映像作品が本職ではないクリエイターなども選ばれ、さまざまな分野から才能が集められました。MVでもドラマ作品を多く制作しているのが乃木坂の特徴ですが、“個人PV”もまた演技の機会を用意するものでした」

 さまざまなクリエイターたちとの出会いが、乃木坂46メンバーのドラマや映画でのキャスト起用につながっているそうで、深川さんが初主演を務めた映画「パンとバスと2度目のハツコイ」(2018年2月公開)や、「愛がなんだ」(2019年4月公開)でメガホンを取る今泉力哉監督も“個人PV”に参加していた一人です。

「舞台にせよ映像にせよ、初期から今日まで演技に傾斜した活動を積み重ねてきたことで、メンバーが広く演技の仕事を得るような回路も確立されているように思います。現在、デビューから7年がたつ乃木坂46ですが、演技に重点を置く活動はグループの伝統になっていますし、グループ在籍時から女優としてのスキルを身につけられる環境は、メンバー自身の糧になっています」

 なお、乃木坂46の舞台・映像作品の活動は、同じ坂道シリーズの欅坂46の作品性にも影響を与えており、「欅坂46はデビュー当初から世間の注目を集めましたが、そのパフォーマンスは乃木坂46が模索してきた演劇性の延長線上に、洗練された表現を作りえたことで実現したものでした。乃木坂が演劇作品で開拓してきた志向性を、欅坂は楽曲パフォーマンスのレベルで群像の表現として昇華し、強いインパクトを生んでいるのです」。

(オトナンサー編集部)

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香月孝史(かつき・たかし)

ライター

1980年生まれ。ポピュラー文化を中心にライティング・批評やインタビューを手がける。著書に「『アイドル』の読み方 混乱する『語り』を問う」(青弓社)、共著に「社会学用語図鑑 人物と用語でたどる社会学の全体像」(プレジデント社)、執筆媒体に「RealSound」など。

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