「よかれと思って」「気配りのつもり」でも実はダメ!? 大皿料理でやりがちな「逆さ箸」はなぜマナー違反なのか
大皿料理をシェアするときにしばしばみられる「逆さ箸」。実は“マナー違反”といわれていますが、“よかれと思って”行っている人も多いようです。実際マナーとしてどうなのか、専門家に聞いてみました。

大勢が集まる食事の席で、大皿料理を取り分ける際や、自分が食べる分を小皿によそうとき、自分の使っている箸を上下逆さまに持って使うことを「逆さ箸」といいます。逆さ箸は、既に口に運んでいる箸を使う「直箸」が「失礼だから」「気にする人がいると思うから」という配慮から、“よかれと思って”、“気配りとして”行っている人が少なくないと思います。しかし実は、むしろ「逆さ箸」に対して「マナー違反だよね?」「実は見かけるたびにモヤモヤしてた」「指摘したいけどできなくて…」と感じている人も多いようです。
飲み会や食事の席で無意識に行っている人が多い「逆さ箸」は本当にマナーとしてNGなのか、そしてなぜNGなのか……そんな疑問について、一般社団法人マナー&プロトコル・日本伝統文化普及協会の顧問を務め、テーブルマナーのスペシャリストとしてメディアをはじめ企業から個人まで研修や監修を行っている、ヒロコマナーグループ講師、エレガントマナーズジャパン主宰の半田典世さんに教えていただきました。
「箸の上部は神様が使用する側」という説も
Q.箸の基本的なマナーにおいて、「逆さ箸」はNGといえる行為なのでしょうか。
半田さん「はい。逆さ箸は、『嫌い箸』(忌み箸、禁じ箸)といって、日本では昔から“してはいけない”無作法な箸使いの一つとされています。
その理由は諸説ありますが、日本にある、神様とともに食事をするという『神人共食文化』が関係する説が存在します。分かりやすい例では、お正月におせちを食べるときやお花見のうたげなども神様と共に頂きます。一般的に、細い箸先は人が使い、反対側(上部)は神様が使います。この考えから、神様が使用する側を使う『逆さ箸』はよくない行為とされているのです。
また、現実問題として、自分の手が触れていた部分で料理を取り分ける『逆さ箸』は不衛生、という科学的な理由も存在します。しかも『逆さ箸』の場合、料理を取り分けている間、自分が使って汚れた箸先を周囲にさらすことになり、取り分け後は反対側も汚れてしまいます。そうした状態の箸をそのまま使うと不快に感じる人、不衛生と感じる人もいらっしゃるのではないでしょうか。
『逆さ箸』をせず料理を取り分けるには、お店であればスタッフに取り分け用の箸をお願いし、自分がお招きしてもてなす場合は前もって取り箸を用意しておくとよいでしょう」
Q.大勢が集まり、料理をシェアする場所においては、「直箸」もやはりNGなのでしょうか。
半田さん「直箸も『嫌い箸』の一つで、避けた方がよいです。特に、取り箸がきちんと用意されているのに『直箸』で取り分けてしまった場合、言い訳の余地はありませんね。ついお話に夢中になって『直箸』で……とならないよう、気を付けましょう。
余談ですが、取り箸がない場合、以前には『逆さ箸をするくらいなら直箸の方がマシ』という考えも確かにありました。しかし、さすがにコロナ禍以降は、友好・親愛の証として『直箸文化』を持つ中国でさえ、政府が飲食店に取り箸提供を推奨するほど『直箸』は敬遠されています。衛生を重んじる日本人が『直箸』を嫌うのは言うまでもありませんね。
ちなみに、『嫌い箸』といわれる箸のマナーは30以上あります。全て覚えておくのが望ましいですが、今回は複数で料理をシェアするときに、これだけは知っておいた方がよいと考える『嫌い箸』をご紹介します」
【嫌い箸(1)刺し箸】
箸で料理を突き刺して食べることです。箸は挟んで使うものであり、串ではありません。作り手にも料理にも失礼です。
【嫌い箸(2)迷い箸】
「どのお料理を食べようか」と迷って、料理の上で箸をウロウロさせる行為。行儀が悪く、幼稚な印象を与えます。
【嫌い箸(3)拾い箸】
箸同士で料理を受け渡すことです。お骨拾いを連想させ、「嫌い箸」の中でも最大級のタブーです。
【嫌い箸(4)さぐり箸】
盛り付けられた料理の中を探るようにかき分け、下から取り出そうとする行為です。和食は“目で食べる料理”でもあります。上から、または手前から食べるのが基本です。また、自分の好みの物だけを探す行為は周囲を不快にさせるので気を付けましょう。
【嫌い箸(5)指し箸】
箸で人や料理を指すこと。少し乱暴で軽んじている印象を与えます。指で指すこともやめましょう。
【嫌い箸(6)ねぶり箸】
箸先を口に入れ、なめること。箸は料理を口に運ぶためにあります。この所作は汚くも卑しくも映り、マイナスイメージを与えます。普段から気を付けたいものですね。






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