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ついに100回! 「イッテQ!」温泉同好会の魅力は“女学生の部活ノリ”

人気バラエティー「世界の果てまでイッテQ!」の看板企画「温泉同好会」が、100回目の放送を迎えます。当初不安視されていた同企画が、100回を迎えられた理由を探ります。

いとうあさこさん(Getty Images)
いとうあさこさん(Getty Images)

 10%を超えれば「合格」と言われる現在の状況下で、年間を通じて20%前後をキープしている「世界の果てまでイッテQ!」(日本テレビ系)。「今、最も視聴率を稼げるバラエティー番組」であるのは間違いありません。

 実際、私の元にも「イッテQ!」に関するコメント依頼などの問い合わせが、月1ペースであります。しかも、その媒体は、中高年向けの週刊誌から、20~30代向けの青年誌、ティーン向けのファッション誌、あるいは、ネット媒体まで多種多彩。同番組が「いかに幅広い年齢層から支持されているか」が分かります。

 中でも人気なのは、「珍獣ハンター・イモト ワールドツアー」「世界で一番盛り上がるのは何祭り?(宮川大輔)」と並ぶ看板企画の「温泉同好会」。これが下半期スタートの7月1日で、100回放送を達成するのです。

 看板企画の中でも、ゆるいコンセプトであり、世界を旅するスケール感が伝わりにくいことから、「すぐに終わるかもしれない」と不安視されていた「温泉同好会」は、なぜ100回を迎えることができたのでしょうか。

“古き良き部活”と“今どき部活”が混在

 もともとは森三中が「世界一の温泉を探す」という企画だった温泉同好会。彼女たちは、アジア、北米、欧州、オーストラリアと、さまざまな大陸の温泉を訪れました。いかにも森三中らしい、「温泉だけど爆笑あり。温泉なのにセクシーなし」の珍道中でしたが、徐々にパワーアップ。

「親方」こと大島美幸さんの元に「新弟子」なる新メンバーが集い始め、MCの内村光良さんが「温泉どこいった?」とツッコミを入れるなど、絶叫アクティビティーや一芸合宿などに挑む“女芸人軍団コント化”していきました。

 さらにお約束となっているのは、女芸人たちの相撲対決。当初は「世界各国の自然あふれるローケーションで、わざわざ日本古来の相撲を取る」というナンセンス感が笑いのツボとなるコーナーでした。

 また、芸歴の差やキャラかぶりなどを背景に闘志をむき出しにし、「ブス!」「デブ!」「クズ!」「ポンコツ!」などの暴言を連発して決戦ムードを盛り上げる姿は、女芸人同士だからできる笑いの取り方。相撲に限らず、勝っても負けても感情をむき出しにして挑む彼女たちの姿が、笑いの先にある小さな感動につながっています。

 その様子は、まるで“女学生の部活”のノリ。森三中から、いとうあさこさん、椿鬼奴さん、バービーさん、川村エミコさん、おかずクラブ、ガンバレルーヤらのやり取りから、「上下関係の厳しさや面倒見の良さ」などの古き良き部活を思わせるムードも、「フレンドリーな関係性で実力主義」などの今どき部活を思わせるムードもあるのです。

 また、「上級生と下級生が互いに個人のスキルを引き出し合い、引いてはチーム力が上がる」というチームワークも、見どころの一つと言えるでしょう。

 ポイントは、視聴者が、女芸人たちがどんな暴言を吐いても「彼女たちは仲間」という信頼関係を理解していること。「穏やかな気持ちで安心して楽しめる」「親子そろって見やすい」という点は、番組そのものの強みにも通じています。

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木村隆志(きむら・たかし)

コラムニスト、コンサルタント、テレビ解説者

雑誌やウェブに月間30本前後のコラムを寄稿するほか、「週刊フジテレビ批評」などに出演し、各局のスタッフに情報提供も行っている。取材歴2000人超のタレント専門インタビュアー、人間関係のコンサルタントとしても活動中。著書に「トップ・インタビュアーの『聴き技』84」「話しかけなくていい!会話術」など。

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