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小池栄子、ドラマやMCで引っ張りだこの“安心感” “威圧系”タレントからの進化

俳優の坂口健太郎さんと杏さんがダブル主演を務めるフジテレビ系“月9”ドラマ「競争の番人」(毎週月曜 午後9時)で“月9”初出演を果たした俳優の小池栄子さん。グラビアタレントとしてデビューした彼女が、俳優、タレント、MCとマルチに活動する魅力に迫ります!

小池栄子さん(2021年1月、時事通信フォト)
小池栄子さん(2021年1月、時事通信フォト)

 俳優の坂口健太郎さんと杏さんがダブル主演を務めるフジテレビ系“月9”ドラマ「競争の番人」(毎週月曜 午後9時)で“月9”初出演を果たした俳優の小池栄子さん(41)。放送中のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」では、17年ぶりの大河出演となるなど、改めて世間の注目を集めている俳優の一人です。俳優、タレント、MCとマルチに活動する、小池さんの魅力に迫ります。

グラビアアイドルから俳優へ 視聴者を圧倒する“存在感”

 小池さんは、グラビアアイドルとして芸能活動をスタートしました。2020年に放送されたバラエティー番組「ダウンタウンなう」(フジテレビ系)に出演した際に、当時の状況について「“癒やし系”が全盛の中、私は“威圧系”って言われて全然需要がなかった」と振り返っていました。しかし、自身のグラマラスなボディーラインと目力の強さを逆手に取り、強い女性像を打ち出し、ブレークを果たしました。

 圧倒されるほどの存在感は俳優業にも生かされています。2003年公開の映画「2LDK」(堤幸彦監督)では、同居人とささいな言い合いから殺害に発展していくグラビアアイドルを演じ、数々の賞を受賞した2008年公開の映画「接吻(せっぷん)」(万田邦敏監督)では、テレビニュースで知った猟奇殺人犯に恋い焦がれるOLの、心に巣食う狂気を見事に演技で出しきるなど、表現力を磨いてきました。

 なかでも、2011年公開の人気映画「八日目の蝉」での演技を忘れられない人は、多いのではないでしょうか。同作は角田光代さんの同名小説を映画化したヒューマンサスペンスで、不倫相手の赤ん坊を誘拐した女性・希和子(永作博美さん)の逃亡劇と、その赤ん坊が成長し、自身もまた妻子ある男性との関係に足を踏み入れた恵理菜(井上真央さん)の葛藤を描きました。

 小池さんは、恵理菜の前に突然現れるフリーライターの安藤千草役で出演。実は千草は、希和子が逃亡期間中に身を寄せた、女性の駆け込み寺的存在の宗教施設で恵理菜とともに育った女性だったのです。千草と恵理菜は過去を振り返っていくのですが、小池さんが漂わせる奇妙なオーラがとにかくすごいとしか言いようがありませんでした。特に印象に残っているのは、2人が焼きそばを一緒に食べるシーン。猫背で一心不乱に焼きそばをむさぼる姿や、恵理菜の顔色をうかがいながら自分の過去を明かすぎごちない口調のすべてが、彼女の育ってきた複雑な環境を想起させるような“深みのある演技”でひと際、存在感を放ちました。

 同作での演技が評価され、小池さんは「第35回日本アカデミー賞」で優秀助演女優賞、「第85回キネマ旬報ベスト・テン」で助演女優賞を受賞。思えば、小池さんの名脇役としてのキャリアはここで約束されたも、同然だったかもしれません。

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苫とり子(とま・とりこ)

エンタメ系ライター

1995年、岡山県生まれ。東京在住。学生時代に演劇や歌のレッスンを受け、小劇場の舞台に出演。IT企業でOLを務めた後、フリーライターに転身。現在は「Real Sound」「AM(アム)」「Recgame」「アーバンライフメトロ」などに、エンタメ系コラムやインタビュー記事、イベントレポートなどを寄稿している。

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