「わが子は発達障害」と伝えたら“入園拒否”…それでも“公表”した方がよい理由
「わが子が発達障害であるということを、周囲に公表してよいのか」。そんな悩みを抱える親が少なくない中、自閉症児を育ててきた筆者が「公表」を勧める理由とは……。

わが子が発達障害だった場合、このことについて「どの範囲の知り合いまで伝えた方がよいか?」と悩む人も多いのではないでしょうか。
私の息子は自閉症児として育ち、現在21歳です。正式な診断を受けたのは2歳3カ月のときでした。その後、「自閉症であることを伝えたら、かえって障害児のレッテルを張られたり、色眼鏡で見られたりして、伸びるものも伸びなくなってしまうのではないか」「似たような子はたくさんいるのだから、『個性が強いだけ』ということにとどめておいて、黙っていようか」と悩みました。
でも、「黙っていたら子どもが誤解を受け、叱られる回数も多くなる。私自身も『しつけができない親』と非難され、つらくなるのではないか」と考え、公表することにしました。
入園希望の園に伝えたら「拒否」された
昔と違って、今は障害者差別解消法による合理的配慮を幼稚園、保育園はしなくてはなりません。でも実際には配慮してくれず、嫌な顔をする園もあります。具体例をお話ししましょう。
「家庭内だけの秘密にしていると、適切なサポートを受けられなくなる」…そう考えた知人が、入園前に「うちの子には発達障害がありますが、こちらの園に入園を希望しています」と伝えました。ところが、園から「当園は療育機関ではありませんので、他所へ行かれた方が◯◯さんのお子さんのためにはよろしいのではないでしょうか」と言われてしまったのです。知人は、園に伝えたことを後悔しました。
さて、この話を聞いてどう思いますか。
発達障害は、見た目では分からない障害なので、そのことを隠して入園することもできます。けれども、「あなたのお子さんを歓迎します」という園ではありませんから、“厄介者扱い”されてしまいます。そうなると、子どもはとても居心地の悪い空間で、小学校入学まで過ごすことになります。だから知人の件は、結果的にはよかったのではないかと私は思います。
入園後は、園に具体的に伝えましょう。ここで、伝えるポイントがあります。園の先生は忙しいので、保護者から「自閉症とは」の書籍をドサッと渡されるのは、迷惑かもしれません。
子どものことを熟知している親が、「どんなことを嫌がり、何が好きか」「どう伝えれば理解できるか」「パニックはどんな状況で起こりやすいか」「パニックや自傷行為が始まったとき、保育士はどうすればよいか」といった情報を伝えましょう。これらの情報は学術書よりも、医師や臨床心理士よりも、親が持っています。24時間、年中無休で育ててきているのですから、親は子どもの一番の理解者であり、専門家だと思います。
園の先生も、大勢の園児の保育に加えて、発達障害児への対応の苦労をかけることになります。担任の先生が少しでも楽に対応できるようにお願いする姿勢でいることが大切ではないでしょうか。
コメント