「羊の木」吉田大八監督、錦戸亮の演技を絶賛「市役所職員・月末がそこにいた」
2月3日公開の映画「羊の木」。港町に移住してきた6人を受け入れる、錦戸亮さん演じる市役所職員が、6人が元殺人犯だと知るヒューマンサスペンス映画です。同作の吉田大八監督に作品の魅力を聞きました。

山上たつひこさん原作、いがらしみきおさん作画の人気コミックを実写化した映画「羊の木」(2月3日公開)。港町・魚深市に移住してきた6人の受け入れを担当することになった、錦戸亮さん演じる市役所職員・月末は、彼らが全員“元殺人犯”だと知ってしまいます。そして、港で起きた死亡事故をきっかけに穏やかな港町に不穏な空気が流れていく…というヒューマンサスペンス映画です。
オトナンサー編集部では、同作の吉田大八監督にインタビューを敢行。作品の魅力や、キャストの印象などについて聞きました。
荒唐無稽なのに絵空事でない
Q.原作のどのようなところに魅力を感じましたか。
吉田監督「まず何と言っても設定の面白さです。現実に社会が直面している問題にも通じていて、ある意味、荒唐無稽なのに絵空事とは思えないリアリティーがありました。この設定から映画を作れば間違いなく面白くなるはずだと。脚色の作業に時間がかかってしまいましたが、そのために重ねた打ち合わせはとても濃く、充実した時間でした。全面的に任せてくださったので、原作から僕らが受け取ったスピリットは大事にしつつ、自由に発想を膨らませることができました。映画が完成した後、いがらし先生にお会いしましたがとても気に入っていただけたようです」
Q.会心のシーンはどこでしょうか。
吉田監督「バンドの演奏シーンは気に入ってます。月末たちみたいな地方の若者が集まって、どうやって時間をつぶすのかを考えていてふと思いつきました。関係性が見えやすいし、音楽性自体にも映画のムードを生かせそうだったので。自分も似たようなバンドを高校生の時にやっていたのでイメージしやすかったです」
Q.「羊の木」にはピュアすぎる発想から転じて「信じる心」という意味もあるそうです。吉田監督にとって「信じる」とはどういうことでしょうか。
吉田監督「分からないものは分からないままでも、まず受け入れる努力をしてみるという態度は大事だと思います」
Q.映画作りで心がけられていることはありますか。
吉田監督「当たり前だけど、俳優一人一人がちゃんと映画の中で“存在する”こと。誰でも自分の人生では主役なので、その前提がないとそこに立つ理由がなかったりします。その人が映ってるだけで画面の、映画全体のクオリティーに影響すると思います」
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