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「青天を衝け」が“タブレットを持つ徳川家康”で伝えたかったもの

人と人とのつながり

 ではなぜ、大河も朝ドラも同時にこういった方向性を示したのでしょうか。そこには、東日本大震災あたりから顕著になった「人と人とのつながり」を求める現代日本人の願望が影響していると考えられます。そういうテーマを描く上で、歴史の連続性は魅力的なのです。

 というのも、歴史は人と人とが作っていくものだからです。人と人とが出会い、人を生み、育てていくことで歴史は連続していきます。

 親から子、孫へという「カムカムエヴリバディ」はもとより、「青天を衝け」でも、家康がその子孫である徳川慶喜とその家臣たちの奮闘を見守り、栄一が自身の子や孫の明日を案じ、期待するという構図によって、その摂理が体現されていました。

 その最終回、冒頭に登場した家康は視聴者に向けて、「真心を込めて切り開いた彼らの道の先を歩んでいるのは、あなたがただ」と語りかけました。そして、本編終了後の「青天を衝け紀行」においては、林田理沙アナウンサーが「栄一が夢見た日本の未来は、今を生きる私たちに託されたのです」という言葉で締めくくりました。同じ趣旨のメッセージが繰り返されたのは、よほど大事に伝えたかったからでしょう。

 400年前の英雄も、現代を生きる一人一人も同じ歴史でつながっている――。家康が時にタブレットまで手にして言いたかったことは十分に伝わったと言えます。そして、来年の春まで続く「カムカムエヴリバディ」がどんな人と人とのつながりを表現していくのか、今後も楽しみに見届けたいものです。

(作家・芸能評論家 宝泉薫)

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宝泉薫(ほうせん・かおる)

作家、芸能評論家

1964年岐阜県生まれ。岩手県在住。早大除籍後「よい子の歌謡曲」「週刊明星」「宝島30」「噂の真相」「サイゾー」などに執筆する。近著に「平成の死 追悼は生きる糧」(KKベストセラーズ)、「平成『一発屋』見聞録」(言視舎)、「あのアイドルがなぜヌードに」(文春ムック)など。

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