僕らも人間、死にたくない…中学時代、いじめられっ子男子2人の叫びに勇気をもらった話 「堂々としていてすごい」
中学生の頃の経験を描いた漫画が話題に。昭和の時代に中学校生活を送った女性。クラスには、いつもいじめられている男子生徒が2人いて…。

中学生の頃の経験を描いた漫画「昭和のいじめ」がSNS上で話題となっています。昭和の時代に中学校生活を送った女性。クラスには、いつもいじめられている男子生徒が2人いたのですが、彼らがあるとき…という内容で「心からの叫びですね」「自分のことを思い出しました」「堂々としていてすごい」などの声が上がっています。作者の女性に聞きました。
自分もいじめられていただけに…
この漫画を描いたのは、漫画クリエイター&介護福祉士のゆらりゆうら(ペンネーム)さん(59歳)です。インスタグラムのほか、ブログ「ヘルパーおかん」、ツイッターで作品を発表。2017年には「アラフィフでヘルパーはじめました」(KADOKAWA)を出版しています。
Q.漫画を描き始めたのは、いつごろからでしょうか。
ゆらりゆうらさん「ずっと専業主婦でしたが、2013年に義母との同居から脱出する手段として介護職に就き、デイサービスで働き始めました。大変な中にもやりがいを感じる介護の仕事の素晴らしさを発信したくて、ブログで介護漫画を発表。そして、義母とのバトルも漫画にしたら意外なことに大ウケで…今では、義母の強烈キャラに感謝しているくらいです」
Q.今回の漫画を描いたきっかけは。
ゆらりゆうらさん「最近、自分が育った昭和40年代の思い出を描いています。そのうちの一つとしてこのエピソードを描きました。自分もいじめられっ子だっただけに素通りできなかった問題で、強烈に印象に残っている思い出です」
Q.男子生徒2人がいじめを受けるようになった理由は。
ゆらりゆうらさん「昭和40~50年代ごろは中学校がとても荒れていた時代で、私が通っていたのは特に校内暴力の激しい学校でした。主に不良と言われる男子生徒が、いじめやすいターゲットをクラスに2、3人作り、集団でいじめるのです。ターゲットは、勉強ができず、運動もできず、容姿もバカにされやすい、抵抗しない気の弱い男子生徒でした」
Q.他のクラスメートの反応は。
ゆらりゆうらさん「クラス全体から避けられていました」
Q.彼らの話の、どんなことを強烈に覚えていますか。
ゆらりゆうらさん「バカにされて、尊厳を踏みにじられて、それに慣れてしまっていると思っていた彼らの言葉は、先生が原稿を考えたのかもしれませんが心に響きました。興味のない生徒たちがざわつく中、まっすぐ前を見て話す彼の姿はすごいと思いました」
Q.この後、いじめはなくなったのでしょうか。
ゆらりゆうらさん「『余計、いじめがひどくなるのでは?』と心配しましたが…少しは改善されたようにも思いました。先生から何らかのアクションがあったのかもしれません。少数でも私のように、心の中で拍手を送る生徒もいたのだと思います」
Q.今の自分だったら、どのように対処すると思いますか。
ゆらりゆうらさん「集団で1人をいじめるのは許せません。当時も今も私は弱い人間ですが、立ち上がった彼らに、心の中でなく実際に拍手を送り、いじめをなくす行動に出たいと思います」
Q.漫画について、どのような意見が寄せられていますか。
ゆらりゆうらさん「『自分も同じようにいじめられたけど誰も助けてくれなかった』『今でもいじめはなくならないし、SNSによって、より悪質化している』『立ち上がった2人は素晴らしい』『先生は何してたんだ!』等々、いじめられた経験のある方々から多くのコメントを頂きました。今でも形を変えてはびこるいじめをなくしたいと思っている方、そして、今もSOSを送っている子どもたちはたくさんいるのだと思います」
Q.創作活動で今後、取り組んでいきたいことは。
ゆらりゆうらさん「介護のことは引き続き発信していきたいです。また、オリジナルの創作漫画を描きたいと思っています。心のひだを丹念に描けるような…そして、やっぱり、クスッと笑ってもらえるような、そんな漫画に挑戦したいです」
(オトナンサー編集部)
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