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上白石萌音、「ボス恋」をヒットに導く“応援したくなる”キャラ作り

TBS系連続ドラマ「オー!マイ・ボス!恋は別冊で」主演の上白石萌音さん。次世代を担う女優のこれまでを振り返り、その魅力に迫ります。

上白石萌音さん(2020年11月、時事)
上白石萌音さん(2020年11月、時事)

 上白石萌音さん主演のTBS系連続ドラマ「オー!マイ・ボス!恋は別冊で」(毎週火曜 後10:00)が1月12日に始まりました。

 昨年1月期に同じ火曜ドラマ枠「恋はつづくよどこまでも」でも主演を務め、恋にも仕事にも全力な新米看護師を演じた上白石さん。このドラマで「第104回ザテレビジョンドラマアカデミー賞」の主演女優賞を受賞し、オリコンの「2020年ブレイク女優ランキング」では3位(上半期は1位)を獲得するなど、次世代を担う女優として期待が集まっています。

「平成のオードリー・ヘップバーン」評

 上白石さんは13歳のときに「東宝シンデレラオーディション」で審査員特別賞を受賞し、グランプリを受賞した妹・上白石萌歌さんと共に芸能界入り。2011年放送の大河ドラマ「江~姫たちの戦国~」(NHK総合)でドラマデビューを果たし、主人公の江(上野樹里さん)と秀忠(向井理さん)の娘・和を演じました。当時、上白石さんは共演した富田靖子さんから、「息の長い女優さんになるんじゃないかと思ったわ」と褒められたのだとか。

 富田さんの言葉通り、その後も彼女は2014年に公開された「舞妓はレディ」で映画初主演を飾り、その翌年はミュージカル「赤毛のアン」で主人公アン・シャーリー役に抜てき。そして、2016年に公開され、興行収入250億円を突破した新海誠監督作品「君の名は。」でヒロイン・宮水三葉の声を演じ、一気にその名をとどろかせたのです。

 また、「舞妓はレディ」はミュージカル映画であり、上白石さんは作中で披露した歌声も評価されて役名の“小春”名義で歌手としてもデビュー。さらに、RADWIMPSが歌う「君の名は。」の挿入歌「なんでもないや(movie ver.)」を澄み切った歌声でカバーし、同曲は音楽配信サービスのランキングでも上位に入るほどの人気ぶりでした。

 上白石さんの歌声は名だたるアーティストから絶賛されており、これまで、いきものがかりの水野良樹さん、YUKIさん、元チャットモンチーの橋本絵莉子さん、RADWIMPSの野田洋次郎さんといった面々が彼女に楽曲を提供しています。

 上白石さんは女優として映像作品だけではなく、舞台・ミュージカルと活動の幅を広げ、同時に声優・歌手としても着実に成果を残してきました。そんな彼女を「舞妓はレディ」の周防正行監督は「平成のオードリー・ヘップバーン」と絶賛しています。

 多くの才能に恵まれ、芸能関係者からも軒並み好評の声を受けている女優。ともすれば、近寄り難い印象を与えてしまいそうですが、上白石さんの飾らない笑顔に友達や親戚の子どもを見ているような身近さを感じます。

 その魅力を最も引き出したのが「恋つづ」でした。上白石さん演じる主人公・佐倉七瀬は学生時代に出会った医師・天堂浬(佐藤健さん)に一目ぼれし、看護師になって、同じ病院に入職。しかし、天堂は超ドSで人当たりが悪く、病院関係者からは「魔王」と呼ばれていました。

 そんな彼に猛アタックし、同時に看護師としても成長を遂げていく七瀬は「勇者」という愛称で周囲の人気者に。決して完璧ではないけれど、笑顔でまい進する七瀬はドラマを超えて、現実世界でも視聴者の心をわしづかみにしました。筆者も見ているうちに、「どうか幸せになってほしい」と願う自分に気付いたものです。

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苫とり子(とま・とりこ)

エンタメ系ライター

1995年、岡山県生まれ。東京在住。学生時代に演劇や歌のレッスンを受け、小劇場の舞台に出演。IT企業でOLを務めた後、フリーライターに転身。現在は「Real Sound」「AM(アム)」「Recgame」「アーバンライフメトロ」などに、エンタメ系コラムやインタビュー記事、イベントレポートなどを寄稿している。

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