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窪田正孝“カメレオン俳優”と称されるゆえん、ピュアな心で役と向き合う驚異の共感力

「うそのないお芝居をされる方」

 同じく「NHKドラマ・ガイド 連続テレビ小説 エール Part1」において、そんな窪田さんの演技力をひもとく言葉が共演者から次々と飛び出しました。「エール」で音を演じている二階堂ふみさんは窪田さんとの対談の中で、「うそのないお芝居をされる方だなと。こんなピュアな美しい心で、きちんと役に向き合っているのは素晴らしいなと思っています」と称賛。

 その言葉を裏付けるように、「花子とアン」(NHK総合)で共演した吉高由里子さんは「役(朝市)の魅力はもちろん、窪田くんの優しい人柄がキャラクターににじみ出たからこそ、見ている人々の心を捉えたのだと思います」と窪田さんの心の根の優しさについて言及しています。優しさがそのまま演技力につながるわけではありませんが、ひいては、役を理解する共感力に結びつくのです。

 ときに、演者は自分が嫌悪するようなキャラクターに向き合う必要があります。演じる役柄の心の奥底を理解せずに、人の心を揺さぶることはできません。それがたとえ、人を死に至らしめる殺人犯でも、その人物がどんな家庭環境で育ち、何をきっかけに武器を手にしたのかと、雑念のないピュアな心で向き合える窪田さんだからこそ、幅広い役柄をクリアできるのです。

 そんな彼が主演を務める「エール」第14週&第66話が、ついに9月14日午前8時から放送されます。自身が作曲を務めた流行歌「船頭可愛や」がヒットし、作曲家としての地位を確立させた、窪田さん演じる裕一。娘の華も生まれ、折り合いの悪かった弟・浩二(佐久本宝さん)とのわだかまりも溶けたことで、プライベートも充実した日々を送っていました。

 しかし、日本が太平洋戦争下に入ると、裕一がモデルとしている古関裕而は数々の軍歌を生み出していきます。それまで、頑張る人の背中を押す応援歌を作っていた裕一が、自身の曲で戦争に赴く人たちを扇動することになるのです。歴史からも明らかなように、結果的に、彼の曲に鼓舞された多くの日本人が命を落とすことになりました。その現実に、裕一も生涯向き合っていくことになるでしょう。

「エール」後半のテーマは「音楽に向き合う姿と2人(裕一と音)の絆」。ピュアな心と驚異の共感力で役柄と対峙(たいじ)する窪田さんの演技に注目です。

(ライター 苫とり子)

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苫とり子(とま・とりこ)

エンタメ系ライター

1995年、岡山県生まれ。東京在住。学生時代に演劇や歌のレッスンを受け、小劇場の舞台に出演。IT企業でOLを務めた後、フリーライターに転身。現在は「Real Sound」「AM(アム)」「Recgame」「アーバンライフメトロ」などに、エンタメ系コラムやインタビュー記事、イベントレポートなどを寄稿している。

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