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美人すぎるのも損? 今田美桜がさらなる飛躍を果たす条件とは

レギュラー出演する「半沢直樹」がコロナ禍で放送延期となった、今田美桜さん。圧倒的な容姿からくる、ある種の“制約”を乗り越え、どう飛躍していくでしょうか。

今田美桜さん(2018年12月、時事)
今田美桜さん(2018年12月、時事)

 日曜劇場「半沢直樹」(TBS系)がコロナ禍により、放送延期中です。7年前に大ヒットした同名ドラマの続編で、今年1月には単発スペシャルが放送されました。そこでヒロインを演じ、今回も引き続き、レギュラー出演するのが、今田美桜さんです。

 実は彼女、前クールの連ドラでも不運に見舞われました。「ケイジとケンジ~所轄と地検の24時~」(テレビ朝日系)の主演・東出昌大さんの不倫騒動です。この状況は、同学年で誕生日がひと月違いの松本穂香さんと似ています。

 こちらはヒロイン役の「竜の道 二つの顔の復讐者」(フジテレビ系)が放送延期中。前クールの「病室で念仏を唱えないでください」(TBS系)では、東出さんの交際相手だった唐田えりかさんがいきなり降板するという船出となりました。

「社会人役」という新たなステップ

 ただ、似た状況とはいえ、今田さんの方が戦略的に痛かったのでは、という印象です。というのも、彼女は前々クールの「ドクターX~外科医・大門未知子~」(テレビ朝日系)でナースを演じました。続く「ケイジとケンジ」では刑事役、「半沢直樹」では証券会社の社員役というように、いずれも職業モノのドラマにおける社会人役です。

 これは、彼女に新たなステップをという、事務所や業界の期待の表れでしょう。また、本人もスペシャルに続いて出演することとなった「半沢直樹」についてこう語っています。

「本編となると、ちょっと大人のステージになったというか、本当に会社に入った感じがしました」(スポーツ報知)

 役柄もそうですし、日曜劇場が大人向けの枠であることから、女優として一つ階段を上ったような気持ちだったのかもしれません。

 というのも彼女、高校時代に芸能活動を始めるにあたり、学業優先を望む両親からあまり賛成されなかったとか。高3で進路を決める際には、こんないきさつがあったといいます。

「私はどうしてもこのお仕事がしたくて、22歳、みんなが大学4年生を卒業するタイミングでまた改めて考え直したら?って、なんか、それを一つの約束で許してもらいました」(「アナザースカイII」日本テレビ系)

 それまでに結果を残し、長くやっていける手応えを得たいという思いだったのでしょう。そして、彼女は結果を残しました。一昨年の連ドラ「花のち晴れ~花男 Next Season~」(TBS系)で演じた真矢愛莉役が「原作再現度高すぎ」と大評判に。インスタグラムのフォロワーはそれまでの7万人から、一気に100万人へと増えました。

 その後も順調で、昨年の連ドラ「3年A組-今から皆さんは、人質です-」(日本テレビ系)でも主要な生徒の一人を好演。一昨年と今年、出版された写真集も大ヒットしました。今年の写真集では、最後の水着にするという宣言も。ここにも次なるステップへという、意気込みが感じられます。

 とはいえ、役者には往々にして、役柄が限定されがちだという問題があります。彼女の場合、ヒロインの敵役として登場する「花晴れ」がそうだったように、美人すぎるのがアダになるのか、恋愛ドラマでみんなに共感されるような等身大の女性の役が意外と回ってこないのです。「3年A組」で演じたのも、読者モデルをしているという、学校においては非日常的な存在の生徒でした。

 極め付きは「タマホーム」のCMです。デビュー当時の松田聖子さんを連想させる1980年代アイドルを、これまた高すぎる再現度で演じています。「カワイイ」の記号ともいうべき存在に時を超えてなりきれるのも、彼女が圧倒的な「カワイイ」の持ち主だからでしょう。その分、普通の現実っぽい役が向かないわけです。

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宝泉薫(ほうせん・かおる)

作家、芸能評論家

1964年岐阜県生まれ。岩手県在住。早大除籍後「よい子の歌謡曲」「週刊明星」「宝島30」「噂の真相」「サイゾー」などに執筆する。近著に「平成の死 追悼は生きる糧」(KKベストセラーズ)、「平成『一発屋』見聞録」(言視舎)、「あのアイドルがなぜヌードに」(文春ムック)など。

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