オトナンサー|オトナの教養エンタメバラエティー

川口春奈、素をさらけ出しても不変の“姫オーラ”と“離島パワー”でブレーク!

NHK大河ドラマ「麒麟がくる」で帰蝶役を演じる川口春奈さん。その魅力の源泉である、“姫オーラ”と“離島パワー”に迫ります。

川口春奈さん
川口春奈さん

 ハマり役と当たり役。芝居の世界でよく使われる言葉です。ハマり役と出会い、それが当たり役になることほど、役者にとっての幸せはないでしょう。NHK大河ドラマ「麒麟がくる」で帰蝶役を演じている川口春奈さんは、今まさにそういう状況に思えます。

叱られて伸びるタイプと自認

 4月12日放送の第13話「帰蝶のはかりごと」では、夫・信長のためにニセの兵を集めるため、交渉相手の前で砂金を振りまいてみせるシーンがありました。凛(りん)とした美しさと内に秘めた強さとが相まって、ファンをうっとりさせたものです。

 しかも、この役は沢尻エリカさんの降板によって回ってきたもの。準備期間は数日しかなく、初めての時代劇に猛勉強して臨んだといいます。

「それでも撮影開始後1カ月くらいは毎回苦労しましたね。でも実は私、褒められるよりも叱られた方が伸びるタイプ。“なにくそ!”で燃えるんです」

 これは、最近のインタビュー(「VOCE」6月号)での発言。そんな性格も、戦国時代をたくましく生きる帰蝶の役には合っていたのでしょう。そして、この「なにくそ」には、彼女が以前、「低視聴率女優」などと呼ばれた悔しさも関係していたのかもしれません。

 2007年にローティーン向けファッション誌「ニコラ」のオーディションでグランプリを獲得した川口さんは、2009年に女優デビュー。しかし、2013年のゴールデン帯連続ドラマ初主演作「夫のカノジョ」(TBS系)は平均視聴率4%を下回り、全9話の予定が8話で打ち切りになりました。

 その後も大ヒット作はなく、個人的にその理由を考えてみたことがあります。たどりついたのは、現代的な等身大女性の役に合いにくいのでは、という仮説でした。

 例えば、多部未華子さんや吉高由里子さんがやるような、普通の女子が職場や学校で葛藤して…というタイプの役がしっくりこないのです。

 実際、デビュー映画「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」(2011年)では、難病で亡くなる女子マネジャーの役でした。この作品で「葛藤する現代的な等身大女子」を演じたのは主役の前田敦子さんです。このとき、川口さんには“天性の華”を生かした、ちょっと非日常的な役が似合うのかもと感じたものです。

 そんなこんなで導き出された結論は、刑事モノの紅一点や、時代劇のお姫さまのような役が合うのでは、というもの。今回、帰蝶役が好評なことで、わが意を得た気分です。

 そんな川口さんは、女優業以外も好調。今年4月から「Going! Sports&News」(日本テレビ系)の土曜キャスターを務めている他、CM契約も8社に増えました。また、プライベートでは、交際中の総合格闘家・矢地祐介さんの試合に駆け付け、勝利に涙したりするオープンな熱愛ぶりが話題になっています。

 そして何より、彼女らしさが存分に発揮されているのがSNS。一般人の盗み撮りに対して「撮らないでって言わないとわからないのかな? って思ってしまうけど、みんなはどうかわからないけどわたしはそれは嫌なんだよな。すごくすごくすごくすごくね」と異議を申し立てたかと思えば、19歳のときに亡くなった父親について、

「今日まで毎日毎日顔が浮かびいつも想ってます、届いてるといいな。この写真あまりにも父に似ていてうけたので載せます(笑)パパ愛してるよ!」

 とつづるなど、喜怒哀楽を自由に表しています。また、自由なのは気持ちだけではありません。「着替えたくもない、でもあそこに食べに行きたい。そのまま行っちゃうのが私!」と、お風呂上がりに首にタオルを巻いたラフ過ぎるファッションで麺を食べに行った写真を上げたりしています。

1 2

宝泉薫(ほうせん・かおる)

作家、芸能評論家

1964年岐阜県生まれ。岩手県在住。早大除籍後「よい子の歌謡曲」「週刊明星」「宝島30」「噂の真相」「サイゾー」などに執筆する。近著に「平成の死 追悼は生きる糧」(KKベストセラーズ)、「平成『一発屋』見聞録」(言視舎)、「あのアイドルがなぜヌードに」(文春ムック)など。

コメント