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「見えない目撃者」森淳一監督、盲導犬の優秀さに驚き ヒロインの行動範囲広げる

映画「見えない目撃者」の森淳一監督に、オファーを受けた時の気持ちや、撮影にあたって心がけたことなどを聞きました。

森淳一監督
森淳一監督

 森淳一監督がメガホンを取った映画「見えない目撃者」。自らの過失で弟を事故死させ、自分自身も目が見えなくなってしまった浜中なつめ(吉岡里帆さん)は、事故から3年たっても弟の死を乗り越えられず、失意の底にいます。ある日、車の接触事故に遭遇したなつめは、車中から助けを求める声に気付き、誘拐事件だと確信します。そこで、偶然、同じ現場に居合わせたもう一人の目撃者・国崎春馬(高杉真宙さん)を探し出し、ともに事件の真相を追いかけるノンストップスリラー映画です。

 オトナンサー編集部では、森監督に単独インタビューを実施。監督オファーを受けた時の気持ちや撮影にあたって心がけたこと、事前のリサーチから、映画に取り入れたシーンなどを聞きました。

捜査から犯人にたどり着く経緯を描く

Q.オファーを受けた時の率直な感想を教えてください。

森監督(以下敬称略)「もともと、スリラーをやりたかったので、二つ返事で引き受けました。でもリメーク経験はなかったので、できるかな…とも思いました。オリジナル版をDVDで拝見して、日本版にするにはどうしたらいいか、実作業として何を行えばいいかと考えていくうちに面白くなり、引き受けることに決めました」

Q.参考にした事件などはありますか。

森「これという事件はありません。サイコパスやシリアルキラー、犯罪心理に興味があったので、映画に取り入れるためにもさまざまな本を読みました。また、過去にドキュメンタリーで見たものを思い出したりしながら作りました」

Q.撮影をするにあたり、表現方法など心がけたことはありますか。

森「韓国版は捜査経緯を飛ばして、主にアクションで見せていたのですが、日本版はアプローチを変えて、なつめがちゃんと捜査して犯人にたどり着くようにしました。その方が、彼女が警察学校でも優秀だったことが表現できます。ほかにも細かい設定や演出のアレンジなどを行っています」

Q.吉岡里帆さんのキャスティングの決め手は。

森「事故で目が見えなくなり、失意の底にいる女性という役なので、演じてくれる本人は明るい人の方がいいと思いました。なつめは事故の影響で悲しい過去を背負う役柄なので、普段はとても明るく、笑顔もすてきな印象のある吉岡さんにお願いしました」

Q.実際に一緒に仕事をされて、いかがでしたか。

森「思った通りの方でした。すごく真面目というか、真っすぐな人だなと思いました。部活で例えると、一生懸命頑張って余計なことを考えず、コーチの話もちゃんと聞く優等生のようなイメージです」

Q.さまざまなところで事前にリサーチをされたようですが、映画に取り入れたことはありますか。

森「盲導犬の優秀さにびっくりしました。『待て』と命令すると全く動かなくなります。また、盲導犬とトレーナー、視覚障害者の方の関係性にも驚きました。視覚障害者の方は本当に盲導犬を信頼しています。例えば、盲導犬が間違った方向に向かったとしたら、そのまま目的地ではない場所に到着してしまうんです。

その怖さがあるはずなのに盲導犬を信じている。お互いの信頼関係が出来上がっていて、すごいなと思いました。これまで、目が見えないと走ることをしないのではないか、自由に行動することもめったにないのではないかと思っていましたが、その信頼関係を知ってからは、なつみの行動範囲を広げていこうと思いました」

Q.この作品を作る上で一番大事にしたことは。

森「エンターテインメントとして、怖くて面白いものにしたいというのが一番でした。その上で、なつめの再生ストーリーやそれぞれの登場人物の人間ドラマをきっちり描くことを心がけました」

Q.お気に入りのシーンは。

森「目の見えないなつめが盲導犬役のパルと走っているシーンはどのシーンも好きです。撮影でとても苦戦したシーンですが、緊迫感を出すためにも、どうにかして、なつめとパルを走らせたかった。どこまで走れるか、逃げ回れるかというのは何度も考えましたが、どうしても撮りたかったシーンです」

 映画「見えない目撃者」は全国公開中。

(オトナンサー編集部)

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