“餃子戦争”敗北の宇都宮が驚くほど冷めているワケ
家計調査は小売店で買う餃子が対象

今回の報道を追い風と捉える浜松市とは対照的に、宇都宮市はその結果にやや冷静な反応を示しています。「1位に越したことはありませんが、正直あまりこだわっていません」と市観光交流課の担当者は話します。
宇都宮餃子はすでに認知度が高く、加えて、2018年4~6月に行われるJRグループの大型観光キャンペーン「デスティネーションキャンペーン」の対象地に、同市を含む栃木県が選ばれたこともその背景にあるようです。「キャンペーンに向け、宇都宮市を『餃子の街』としてPRすれば、さらなる観光客が期待できますし、そのほうが市にも地元餃子店にも価値があると考えています」。
そのような対応をするのにはほかにも理由があります。勝負の順位を決める家計調査の対象が、スーパーマーケットで買う餃子(総菜)だけだからです。「宇都宮では各店舗で消費される量が多く、市民にとって餃子はいわば『外食』です。そうした外食の消費量がカウントされないようでは、勝負になりません」。
実際、浜松餃子学会からも「全体の消費量は宇都宮市が上かもしれない」といった声が聞かれます。ただし「購入額という『一つのものさし』で計った場合に勝っていることは事実。われわれも毎年のイベントとして力を入れているので、来年も今回同様にPRをしていきます」(浜松市)とライバル心は隠しません。
PRはする、しかし勝負はしない
宇都宮市内の餃子店で作る協同組合「宇都宮餃子会」(2001年設立)も、宇都宮市と同意見のようです。「組合にとって、今回の結果はどうでもいいですね。宇都宮市はもう、殿堂入りでよいのではないでしょうか」。会では今回の結果よりも、昨年度から宮崎県が3位にランクインしていることに関心があるといいます。
「東日本大震災前の2010年まで15年連続1位でしたからね。現在は10位でも20位でも、もうそんなのいいじゃないかという感じです。浜松市と対立しているつもりは最初からありません。われわれの競争相手はあくまでも市内の業者。大阪のたこ焼きと広島のお好み焼きが対立していないのと同じです。対立をあおっているのはマスコミですよ」
宇都宮餃子のPR自体にはこだわるが、勝負をしているつもりはない、というのが宇都宮側の姿勢のようです。
組合では昨年、都内や横浜赤レンガ倉庫などで「餃子一色」のPRイベントを行いました。「赤レンガ倉庫には3日間で16万人が来場しました。餃子を通して宇都宮市という地名をより多くの人に知ってもらいたい」と担当者は話します。デスティネーションキャンペーンについても、「宇都宮餃子を『キラーコンテンツ』にする良いチャンス」と位置づけています。
「餃子戦争」報道の裏で、浜松・宇都宮両自治体の人が共通して話していたのは、「一人でも多くの人に自分たちの餃子を食べてもらいたい」という純粋な思い。双方の餃子を落ち着いて楽しむことが一番なのかもしれません。
(オトナンサー編集部)
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